【3/3 Blu-ray&DVD発売】映画野郎達が『プロミスト・ランド』を徹底レビュー!(ネタバレ有り)

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2014年8月に公開されたガス・ヴァン・サント監督作品『プロミスト・ランド』のBlu-ray&DVDが発売されました。

『グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち』のマット・デイモンとガス・ヴァン・サント監督のコンビが手を組んだ社会派ドラマとして注目を浴びた作品。次世代エネルギーとして注目を浴びるシェールガスの採掘のため田舎町を訪れたスティーブ(マット・デイモン)がその土地の人々との交流、反対派との対立を通して自らの生き方について見つめなおしていく姿を描いた作品です。

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この発売に合わせて、大人の男性目線で観て楽しめる映画をメインで扱う「野郎」向け映画情報をお送りする『映画野郎【無料メルマガ版】』3/3号から本作品のレビュートークをご紹介!ストーリーだけでなく、監督・脚本の過去作品、そして映画の尺まで突っ込んでくるざっくばらんなレビューを読めばあなたの『プロミスト・ランド』自宅映画鑑賞会もより一層楽しめること間違いなし!

 

(3) 映画野郎クロニクル ■クロスレビュートーク:第13回『 プロミスト・ランド 』

【コラム一番星】◆『爆言! シネトーク最前線!!』 特別編!

■クロスレビュートーク:第13回『 プロミスト・ランド 』

じょ~い小川(以下、小川):さて、「クロスレビュートーク」ですが、今回はガス・ヴァン・サント監督最新作『プロミスト・ランド』。

ガス・ヴァン・サント監督は『エレファント』(03)や『グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち』(97)の監督ですが、今回はその『グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち』の主演マット・デイモンと監督ガス・ヴァン・サントによる最新作ということで話題となっています。

トークに入る前に作品のさわりですが、舞台はアメリカのオハイオの近くの田舎でしたね。そこでシェールガスの営業マンのスティーブとスーが営業として乗り込んで来て。

原口一也(以下、原口):ま、地上げ屋みたいな。日本で言うと。

小川:そうですね、その土地を買収してそこでガスの採掘をして、そこで得たお金を町の人に還元するという。で、その営業マンが買収をする土地の人々に説明をするけど、地元の年老いた高校教師や環境団体の若者に邪魔をされるというストーリーであります。

原口:その営業マンが奮闘していくヒューマン・ドラマ。

小川:ヒューマン、社会派というか。

原口:環境問題とかそういう目線を含んだ社会派ではあるんですが。

KANTO:アメリカっていう国は本当は石油が豊富にあるんですよ。『ジャイアンツ』(56)っていう映画でも描かれていたように。ところがアメリカはそれに対してお金をかけることよりも、サウジアラビアとかあっち(中東)から買った方が全然安い。だから、アメリカは石油を輸入することでまかなってきた。
ところが、90年代にシェール層っていうすごく浅い層から採掘するという技術が開発されたんですよ。それでアメリカのほとんどの所で石油か天然ガスが採れることがわかっちゃったんです。そうすると、今度はアメリカが何を始めたかっていうと、実は輸出を考えたんですよ。

原口:自国で消費しないで。

KANTO:シェールガスっていうのは天然ガスなんだけど、そこから何が出来るかというと水素ガスっていうのが作れるわけですよ。それで今ちょうど水素ガス自動車という環境にいい燃料が向こう100年以上存分にある、と。だからアメリカは輸入を止める。サウジアラビアとかああいう国からの輸入を止めて自国でまかない、さらに輸出するっていう新しい動きを2020年までに初めてしまおう、という背景がこの映画にはあるんですよ。
それでそこに手を出してる会社のマンモスさというか大きさが90億ドルっていう、会社の規模として1つの国ぐらいの大きさがある。その中で一社員として働いているのがテーマとしてあって。

原口:その「シェールガス」が本作で扱われているけど、その裏にある環境問題っていうのは実際にあることなのかはよくわからないですが。

KANTO:所々はそんなに言及してなくて、どっちかっていうとアメリカの中の社会・企業の在り方みたいな部分とそれとその中での一社員との話ですね。

原口:社会派目線で語るんだったら、この映画で面白いなって思ったのは、いわゆる普通の環境問題を訴える堅い社会派映画だったら、被害者側から語っていくのが普通じゃないですか。「俺たちの土地を奪いやがって!」みたいな、農場の人たちが社会・企業に立ち向かうという形で描くが自然な流れでしょう。

そこを巨大企業の一末端のセールスマンが企業の看板を背負って、コツコツと土地を買収していくっていう立場・視点で描いていて、こういう設定は案外他に見たことがない。それが面白いし、だからドキュメンタリーとか実話の映画化とはならなくて創作なんだけど、創作でないとこの立場の主人公は描けないよ。しかもマット・デイモン自身が共同で脚本も書いている。見て思ったけど、企業側からこの主人公を描けたら面白いなと思ったんじゃないですかね。

KANTO:見て思ったのは昔の黒澤明の『悪いやつほどよく眠る』(60)っていう映画があって、あれが一社員と会社との関係を描いた映画で、もちろんそれと重なる物っていうのはあるっていう風に言うわけじゃないけど、基本的には今のシェールガスのやつは完全に背景なんだよね。
それで本当に社会派でこういう反対派の人がいる、賛成派の人がいるという対立の話になっちゃうとサスペンスが生まれないんだよね。考えも及ばないキャラクターっていうのが中に1人いて、「え? そういうキャラクターはいままでにそういうジャンルにはないよ」っていう部分が凄かった。

原口:そうなのよ。しかも、実話映画っぽい話の流れで終わるのかなって思ったら「そっか、だからこれをフィクションで描いたんだな」っていう捻りがあったのもびっくりした。単なるヒューマン・ドラマでは終わらないシナリオの面白さを凄く感じましたよ!

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《採点まとめ》
原口 評価:★★★★
MUNE 評価:★★★★
小川 評価:★★★★★
KANTO 評価:★★★★

『プロミスト・ランド 』(原題:PROMISED LAND)
・2015年3月3日(火)、Blu-ray&DVD発売!
(2014年8月22日ロードショー/配給:キノフィルムズ)
人生はいつでもやり直せる。次世代エネルギー”シェールガス”の最前線で何が起こっているのかーー。今のアメリカが直面する社会問題を背景に、男の人生の転機を描く感動作。


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