家庭内暴力、夫婦間ではなく「兄弟間」では規制する法律がない

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人気の無料メルマガ『知らなきゃ損する面白法律講座』に、今回寄せられたのは、弟の暴力に悩む方からの相談。家庭内での揉め事は“民事不介入”ということで、警察もなかなか動いてくれないケースが多いようですが、何とか解決する方法はないものでしょうか……。

家庭内の暴力について、刑事事件にあたるのでしょうか?

□相談□

私には6歳離れた弟がいるのですが、最近1ヶ月の間に2度、10分程度の間、些細なことで暴力をふるわれました。実家に暮らしているため、親に迷惑をかけたくない、やり返せば終わりがないことがわかっているため、私はやり返す事はしませんが、それをいい事に暴力を長時間続けてきます。警察に被害届を出して刑事告訴として社会的な処罰を望むのですが、このようなケースで警察は動いてくれるでしょうか? ご助言よろしくお願いいたします。(30代:男性)

□回答□

夫婦間(および婚姻関係と同様の事情にある者)においての暴力、いわゆるドメスティックバイオレンスについては「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律」という法律があります。

しかしながら、ご相談事例のように「兄弟間」の暴力行為を規制するための法律というものはありません。したがって、一般的な法律を用いた対処を考えることになります。

具体的には、暴力を受けてケガをした場合は、刑法の傷害罪(刑法204条)が適用されます。単に暴力を振るわれているのなら刑法の暴行罪(刑法208条)が適用されます(民事では、不法行為に基づく損害賠償請求として怪我による治療費などの請求が可能です。民法709条参照)。

ただ、ご心配されているように警察は、家庭内の暴力行為に対してあまり介入しないようにする場合があるというのが実情であろうと思われます。そのため、暴行を受けた時の状況を録音や録画するなどしておく。その結果、ケガをした場合は、病院に行き診断書を作成しておくなどの「証拠集め」を行った上で、警察に対してご相談や被害届の提出をされるのがよいと思われます。

それでも積極的に警察機関が動いてくれない場合は、各地域に設けられた「法テラス」で家庭内暴力についての相談を受け付けてくれる場合があります(もちろん、ご相談者様自身で家庭内暴力の対応について詳しい弁護士などの専門家を探して頼っていただいてもよいと思います)。こうした窓口を活用されることをおすすめいたします。

昨今、家庭内暴力によって、いたましい結果となる事例が散見されます。「家族だから」という気持ちが手遅れを招いてしまう場合もありますので、早めの対処・相談が必要ではないかと考えます。

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