「それは正論ですが、現実的に考えると…」と言う人、周りにいませんか? 一見正しい反論に見えますが、実は論点がズレていることも。人気の無料メルマガ『ビジネス発想源』の著者・弘中勝さんは、そのような反論をする人たちに対して警鐘を鳴らしています。
正論に沿う
「それは正論ですが、現実問題として……」
という反論を、部下への指示の場や会議の場、取引先との発注や受注の場で、何度も耳にしたことがあるのではないでしょうか。
いや、自分自身も何度も口にしていませんか。
この反論が出た時には、答えはもう出ています。
「正論」に従えばいいのです。
「いやいやいや、正論に従ったら現実的に無理だから現実的にそれに反対しているのであって」と思われる方も多いかもしれませんが、そういう人は、基本的に論点が違います。
すぐ「現実問題として」という反論をする人は、「理想と現実」の話をしています。
「それは正論だが、現実的には無理だ」という反対論者は、提示された正論を「理想」、自分が選ぶべき方向を「現実」だと思っています。
それがなぜよくないのかというと、「現実問題として」という人が選ぶ「現実」は、まず基本的にただの「現状維持」だからです。
会社として、この危機的状況を打破したい、これからもっと飛躍していかなければならない局面で、現状維持という「現実」を選択したら、ダメですよね。
すぐに現実問題を口にして現実を選択する人は、現状維持に慣れきってしまって、絶体絶命の危機に陥った時にも現状維持を選びます。
船がもう沈没しているという時なのに、「現実問題として、僕って泳げないじゃないですか」などと言っているのと同じなんですね。
今話題のドラマ『下町ロケット』などはまさにそれで、モノづくりをしたいという社長の信念と、そんな危険は犯すべきではないという反発する社員たちとの軋轢のシーンがよく出てきます。
でも、「メーカーなんだから、モノづくりしようぜ」という社長の言い分は「正論」であって、「それはわかるが、それは理想だ」と反発している社員は、論点が違うのです。
「正論」が出たとわかっているのならば、それは字の通り「正しい」論理なのですから、正しいほうを選択すればいいのです。
ただし、ここでいう「正論を選ぶ」というのは、明らかに会社が倒産する無理な投資であっても正論だからそれを行いなさいということではありません。
正論に基づく理想どおりにやる、のではなく、正論の部分を踏襲する、ということです。
「正論に従う」のではなく「正論に沿う」のです。