【ビジネス起業】アジアに進出する前に知っておくべき3つの原則

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アジアビジネスのアドバイザーの選び方

『田村耕太郎の「シンガポール発 アジアを知れば未来が開ける!」 』
Vol.146(2015/1/13発行号)

年末年始から、アジアでの色んな規模での事業展開についてのアドバイザリーの要請をいくつかいただく。シンガポールにいると内外から色んなお話をいただく。

私は常に3点申し上げている。

1.事業家自身、まずはできるだけアジアを体系立てて学ぶこと
2.その上でアドバイザーを選ぶ目を持つこと
3.アジアでの事業展開は現地パートナー選びが全て

「自分は事業に専念したいので、進出支援はアジアのことが詳しい方に一任したい」という方がいるが、私は敢えて「できるだけご自身でも事前にアジアを勉強してください」とお伝えする。それには理由がある。まずアジアはチャンスだが、リスクも多く、そして多様である。そして自分で初めて勉強してはじめて怪しいアドバイザーを見抜けるようになる。

ASEANだけでも10カ国あり、それらは政治制度も経済発展段階もインフラ整備状況も民族も規模も宗教も全然違う国である。「まずどこに出たいか」は事業家自身が決めるべきだと私は思う。もちろん、そういう相談にも乗るが、相談しようにも、事業家自身がある程度の知識がないといい議論にならない。

このあたりが「エイヤー」の事業家が多く、そういう人を食い物にする自称アドバイザーが多い。事業の内容、会社の強み、競争状態、必要な最低のインフラ、人口規模、経済発展段階、事業パートナー候補等変数も多く、私が知る限り、欧米企業でも「この事業ならいつどこに誰と組んで出るか」について体系立てたシステムを築けている企業はないと思う。ただ、できる限り最新の状況と正確な数字で多様な変数を検討すべきだ。これをやっておけばアドバイザーをテストすることができる。

自分なりに学んでいけば、正しいアドバイザーを選べるようになる。ちゃんと勉強して現地に足を運んでいれば、正しいアドバイザー候補に出会える確率が高まる。そしてアドバイザー候補をちゃんとテストすればいい。最新情勢をアップデートしていて数字で話せ、ちゃんと最低英語もできて、目指す国の有力パートナーと話ができるかどうか? 日本人でも欧米人でもきちんと体系的に勉強していて、経験もあるアドバイザーは、私の知る限り非常に限られている。意外と自分の世界の狭い人脈に頼って、公開情報を適宜集めているくらいの人が多い。

アドバイザーというなら、どの国でどの現地企業のどのレベルと話ができるかはっきり聞いてみればいい。それはアジア新興国での事業展開はいい現地パートナーと出会うかどうかで80%以上決まると思うからだ。相手とどういう形で出会い、どういう組み方になるか? それにどういう形でインパクトを与えられるアドバイザーなのか?

本人が何かの理由で独力でやってみたいならそれでもいいが、よほどのことがない限り、知らない土地での地力展開は避けた方がいいと思う。現地で実績とネットワークがあり、裏から表の事情まで勝手知ったるパートナーがいるかどうかで、成功の確率は天と地ほど違うと思う。成長のスピードも大違いだ。

上記はあくまで初歩の初歩の話である。私自身できるアドバイザリーは色んな意味で非常に限られているので、全部のご相談に乗れるわけではありません。アジアに出る前にアジアをどうやって学ぶか、アドバイザーのバックグラウンドチェックくらいはお問い合わせがあった皆さんにもお伝えしていますが……。

日本人でも欧米人でも上記の初歩の初歩をみたすアドバイザーは非常に限られています。きちんとテストしましょう。英語を話せないとか問題外だと思います。事業家自身の考えが固まってないうちからアドバイザーになりたがる人も要注意かもです。アジアの最新情勢を体系的に常にアップデートしているアドバイザーも非常に限られています。

あくまでも一般論です。

 

『田村耕太郎の「シンガポール発 アジアを知れば未来が開ける!」 』
Vol.146(2015/1/13発行号)

著者/田村耕太郎(前参議院議員)
第一次安倍政権で内閣府大臣政務官(経済財政・金融・地方分権担当)をつとめる。エール大、ハーバード大、ランド研究所にて研究員の経験あり。早稲田大学、慶応大学大学院(在学中にフランス高等経営大学院に単位交換留学)、デューク大学法律大学院、エール大学経済大学院を各修了。オックスフォード大学AMPおよび東京大学EMP修了。日本人政治家で初のハーバードビジネススクールのケース「Politician in Leather Suits」の主人公になる。
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