日本人の誰もが耳にしてるのに曲名は知らないオペラの超名曲

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初心者にはちょっと敷居が高いイメージがある“オペラ”の魅力を、誰にでも分かりやすい言葉で伝える活動を続ける田実志大さん。先日創刊したばかりの無料メルマガ『0からのオペラつーしん!』では、オペラ史上に輝く名曲『La donna è mobile(女心の歌)』について取りあげています。……タイトルだけ見ると「???」ですが、誰もが耳にしたことのある、あの曲ですよ。

【女心の歌】La donna è mobile

いつの時代も男女の恋愛は、芸術に欠かせない題材であり、またいつの時代もいわゆるプレイボーイがいたようです。

今回紹介する歌は、そんなプレイボーイな公爵が歌った「女心の歌」。前号でお話した通り、有名過ぎるため通称がついた曲の1つです。

どんな曲かは実際に、Youtubeなどで「女心の歌」と検索していだたければと思います。

この曲は、ジュゼッペ・ヴェルディという人が作曲した「リゴレット」というイタリアオペラの1曲で、女好きの公爵に仕える道化師リゴレットの物語です。

皆から笑い者にされているリゴレットには、1人の美しい娘がいました。リゴレットは娘を過剰なまでに大事にしますが、ある日主人である公爵に彼女の存在がバレてしまいます。

このオペラは悲劇的な結末を迎えてしまいますが、「女心の歌」は公爵が日常的に行っているナンパの際に歌う歌で、

女性の心は風邪に舞う羽のよう
言うも思うもすぐに変わってしまう
その微笑みも涙も全てがまやかし
いつもみじめなのは、女性を信じる者
だが、彼女の胸の中の幸せを見つけられぬ者は
愛を味わうことはないだろう

意訳ですが、以上のような内容で公爵の恋愛観を歌っています。

この曲は、作曲者のヴェルディにとってもかなりの自信作だったようで、オペラが世界で初めて上演される初演の数日前まで、この曲を歌う歌手にも楽譜を渡さなかった、というほどに門外不出としていました。初演まで誰にも知られなくなかったそうです。

そしてヴェネツィアで行われた初演の日の夜、ヴェネツィア中のゴンドラ漕ぎの人達が、この歌を鼻歌で口ずさんでいたといった話が残っています。

そして現代でも、テレビなどでもよく耳にする曲の1つとなり、オペラを知らない人でも、誰もがメロディーを耳にしたことのある曲となりました。

image by: Shutterstock

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