3Dプリンタが不可能を可能にしたこと、それは宇宙にあった

nakajima
 

3Dプリンタが私たちの生活をさらに大きく変えそうです。世界的エンジニアの中島聡さんはメルマガ『週刊 Life is beautiful』で3Dプリンタの登場によって可能になった「宇宙ステーションへメールで工具を送る」という記事を紹介しつつ、これから我々が享受できそうなメリットを予測しています。

宇宙ステーションへ工具をメールで送る

ISS astronaut needs a wrench, NASA successfully ‘emails’ him one

3Dプリンタはさまざまなところでの応用が広がっていますが、「3Dプリンタが無ければ絶対に無理」だったことが可能になった例として最適なのがこの記事で紹介されている、「宇宙ステーションへ工具をメールで送る」という行動です。

これまでは、宇宙ステーション上で新しい工具が必要になった場合には、次のシャトルが到着するまで数ヶ月待たねばなりませんでしたが、Made in Space という無重力空間用の3Dプリンタを使うことにより、瞬時にメールで送信することができるようになりました。

これは単に時間の節約というだけでなく、「ひょっとしたら必要になるかも知れない工具」を前もって持って行く必要がなくなる点が大きなメリットになります。

以前にも、工業製品の場合には、特殊な「取り付け部品」を数種類同梱するよりも、3Dプリンタと設計図を同梱した方が安いケースを紹介しましたが、それと同じ話です。

3Dプリンタが小売店や家庭で普通に使われるようになると、さまざまなものを自由にカスタマイズすることが可能になります。

例えばテニスラケットの場合、現在はメーカーが8分の1インチ刻みのグリップサイズのラケットを生産し、小売店はそれらを在庫として抱えていますが、グリップの部分だけでも3Dプリントするようになれば、もっと細かなカスタマイズも出来るようになるし(16分の1インチ刻みでサイズを調整するとか、両手うち用の長いグリップを付ける、重さを調整するなど)、小売店も在庫リスクを大幅に減らすことが出来るようになります。

近いうちに、Wilson あたりが「Wilson ラケットの専門店に行けば、あなたに最適なカスタムグリップを3Dプリントします」というサービスを始めそうな予感がします。

image by: Made in Space

 

週刊 Life is beautiful』より一部抜粋

著者/中島聡(ブロガー/起業家/ソフトウェア・エンジニア)
マイクロソフト本社勤務後、ソフトウェアベンチャーUIEvolution Inc.を米国シアトルで起業。IT業界から日本の原発問題まで、感情論を排した冷静な筆致で綴られるメルマガは必読。
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