【法律相談】自分のバッグがうっかり子供にヒット…親「被害届を出します」

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スーパーで不注意から持っていたバッグが子どもの目にあたってしまった。親御さんはお怒りで「被害届を出す」とまで……何か罪に問われる可能性はあるのでしょうか。無料メルマガ『知らなきゃ損する面白法律講座』で現役弁護士が明確に回答しています。

不注意でバッグが子どもの目にあたった場合、罪に問われる可能性は?

 

■相談

スーパーで、カゴを取ろうとした時に近くに子どもがいる事に気付かずにバッグが子どもさんの右目に当たりました。すぐに謝罪をしたのですが、少し右目が赤くなったようで、親御さんから「傷害罪、暴行罪で被害届を出します」と言われました。

この場合、私は何か罪に問われてしまうのでしょうか?(20代:女性)

■回答

結論から言えば、相手の親御さんから「傷害罪、暴行罪で被害届を出します」との言葉があったとしても、罪を問われる可能性は「ほぼない」と言えるので安心してください

傷害罪は刑法204条で「人の身体を傷害した者」について適用される罪です。ここで言う傷害とは、通院を伴うケガを負わせたというのが実務的な基準になります。多少目が赤くなった程度では「傷害」とは言えないでしょう。

また、傷害罪は故意犯(刑法38条参照)であり、不注意から人を傷つけた場合は過失傷害罪が適用されます((刑法209条1項)。今回のケースでは、不注意でバッグが当たってしまったのですから、仮に相手がケガをしていた場合は、過失傷害罪が適用される可能性はあります。もっとも、前述のようにそもそも傷害といえるのか微妙な事案といえます。

一方、暴行罪(刑法208条)は、「暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったとき」に成立します。そして、過失犯は処罰されません。したがって、意図してバッグをぶつけた場合にのみに問題になるわけですから、暴行罪については気にすることはありません。

こうしてみると、相手方の親御さんが言った傷害罪、暴行罪云々の話は子どもにバッグが当たった怒りから生じた、やや「勢い任せ」の言葉であることがご理解いただけるかと思います。

相手方の親御さんが、目が赤くなったことをあげつらって、病院に駆け込み、なんとか診断書を確保して、今度はそれを警察に持参して被害届を出したとしても、不注意でバッグが当たった程度で、警察側が取り合うとは考えづらいです。仮に警察が取り合ったとしても、訓戒程度で終わる事案だと思われます。それほど気になさらなくてよいと考えます。

image by: Shuttetstock

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