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今は外需で経済成長は望めない!安倍政権は需要創出策を実施すべき

先日、内閣府が発表した2015年4-6月期の実質GDPは3四半期ぶりにマイナスに転じました。そんな中、中小企業診断士であり作家の三橋貴明さんは『三橋貴明の「新」日本経済新聞』の中で、安倍政権がこのまま需要創出をせず、緊縮財政を続ければ7-9月期もマイナス成長になる可能性を否定できないと語ります。

デフレの原因は総需要の不足だという認識を持つべき

デフレーションとは、マクロ的に見れば「総需要の不足」、ミクロ的に見れば「実質賃金の低下」になります。
特に、実質賃金が「物価が下がるが、それ以上のペースで賃金が下がる」形で下落していくのが、デフレ期の特徴の一つです。

問題は「物価の下落」そのものではないのです。物価が下落したとしても、総需要が拡大しているならば、実質賃金で見た所得はむしろ上がっていきます。

単価が下がっても、販売量が増えれば、利益(所得)が増える。当たり前ですよね。

ところが、デフレ期には需要そのものが縮小していきます。より分かりやすく書くと、仕事が減るのです。仕事が減ると、単価下落は利益を直撃します。
というわけで、物価の下落が実質賃金の上昇に全く貢献しないのがデフレ期なのです。

要するに、問題は総需要の不足なのです。というわけで、通貨発行権という強大な権限を持ち、数兆円単位で支出を調整できる政府が「需要創出」策を実施することこそが、デフレ対策の王道になります。
ところが、安倍政権はデフレについて「貨幣現象です(13年5月、安倍総理の国会答弁)」と説明し、14年度以降は緊縮財政に転じました。消費税を増税し、公共事業も削減。介護報酬を引き下げ、医療費抑制にも踏み出そうとしています。

結果が、日本国民の貧困化の継続と、4-6月期の実質GDPのマイナス成長です。7月の指標を見る限り、7-9月期もマイナス成長になる可能性を否定できません。すなわち、またもや「リセッション(景気後退)」です。
しかも、外需を見ると、中国は株式バブルが崩壊中で、人民元の為替レート引き下げに追い込まれるほどの不景気に突入。欧州はギリシャのチプラス首相が政権を投げ出し、またもや恒例の「混乱」に突入しようとしています。

そして、アメリカは、この状況で「利上げ」に踏み切ろうとしているわけです。

オランダ政府の経済政策分析局によると、今年5月の世界貿易量は対前月比で1.2%の減少。4月(0.2%減少)に続き、世界の貿易総量は縮小してしまっているのです。
その分、原油安になっているわけですが、いずれにせよ「外需で経済成長」などと、小泉政権期と同じ夢を見ているとしてら、現状分析がまるでできていないと断ぜざるを得ません。

結局、安倍政権が、「デフレの原因は、総需要の不足である」という正しい認識を持ち、財政出動の拡大に踏み切らなければ、今年度の我が国は普通にデフレ化することになるでしょう。

デフレには、いかなる総理大臣も勝てません。

三橋貴明の「新」日本経済新聞』2015/08/24日号より一部抜粋
※太字はマネーボイス編集部による

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