綿棒や耳かきで耳の中の汚れを取り出す耳掃除。耳掃除が好きな人は多く、なかには1日に1回以上掃除しなければ気が済まない人もいるようです。頻繁に耳掃除をしているにも関わらず、急に耳の中がかゆくてたまらなくなった経験はありませんか?いったいなぜかゆくなるのでしょうか?
間違った耳掃除の仕方をしている
いらないものと思われがちな耳垢ですが、耳垢には「殺菌作用」と「皮膚を保護する」という2つの役割があります。そのため、耳垢がなくなりすぎると耳のなかが危険にさらされた状態になってしまいます。耳かきの頻度は3か月に1回が適切です。
また、耳垢は自然に外に剥がれ落ちていくため、奥の方まで掃除をする必要はありません。綿棒や耳かきを奥までいれて掃除をすると、鼓膜を傷つけることになり、耳鳴りや難聴の原因になります。決して耳の奥までガリガリと掻きだしてはいけません。耳掃除は耳の中の手前1センチ程度にとどめておきましょう。
耳かきを毎日のようにしたり、間違った方法での耳かきを続けたりすると突然耳の中がかゆくなります。そして「かゆいから…」と、耳掃除をしてしまう負のスパイラルに陥るのです。
花粉症などのアレルギーによるもの
花粉症の人やアレルギーの人、アトピーの人なども耳の中が突然かゆくなることがあるでしょう。特に花粉症は、目や鼻だけでなく耳にあらわれることもあります。鼻、喉、耳の3か所は体内でつながっています。鼻や口から侵入した花粉は、耳の奥にたどりつくことがあり、花粉症になると喉の奥がイガイガするのと同じように耳の奥がかゆくなります。
また、乾いた耳垢が耳の中で動くとかゆみを感じることがあります。乾燥肌の人は冬になると耳がかゆくなることもあるでしょう。綿棒を使って保湿をしたり、やさしくこすったりして対応しましょう。
イヤホンや耳栓の使用によるもの
通常、耳の中は空気を接しているため、湿度があまり高くありません。そのため、イヤホンや耳栓を長時間使用していると耳の中の湿度が高くなり、カビが生えるのに好都合な環境になってしまいます。耳の中のカビが増えると、耳の中の皮膚が刺激されてかゆみや痛みが出てくることがあります。これを「耳カビ」と言いますが、放っておくとカビはどんどん増殖し、耳から耳ダレという液体が出てきてしまうこともあります。耳鼻科で診断を受け、適切な薬を処方してもらいましょう。また、イヤホンや耳栓をこまめに掃除して清潔な状態にしておくことも大切です。
監修:岡本良平(医師)
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