何かとお酒を飲む機会が多い年末年始ですが、ご注意ください。最近ではパワハラという言葉が世間に浸透し、「酒の席だから」では済まされず裁判に発展するケースもあるようです。そんな事態を避けるためにも、『「黒い会社を白くする!」ゼッピン労務管理』で、飲み会の席での注意したいポイントや会社が取るべき対策をきちんと学んでおきましょう。
「俺の酒が飲めないのか」はパワハラになるのか
年末年始。おそらく、1年の中で1番飲み会が集中する時期ではないでしょうか。会社のメンバーとの忘年会、地元の友人との新年会、みなさんもいろいろと予定が入っていることと思います。
夜になると、飲み屋はどこもそれらしいグループが楽しそうにお酒を飲んでいますね。みなさんの中にも「気の合う仲間で飲むお酒は最高」と感じている人も多いのではないでしょうか。
ただ、中には「飲み会が苦手」という人もいます。それは、お酒が飲めない人です。
知人同士であれば、お酒を飲まずに楽しむこともできると思いますが、仕事の付き合いではそうはいかない場合もあります。特に、忘年会・新年会は仕事の付き合いが多かったりします。上司に「俺の酒が飲めないのか」と言われれば、ときには無理をしてでも飲む(もしくは飲んだふりする)しかない場合もあるでしょう。それは、本人にとっては苦痛でしかありません(と、お酒の飲めない友人が話していました)。
では、仕事の飲み会で上司が部下にお酒を強要したらどうなるか(その部下はお酒が飲めないとします)?
これについてある裁判があります。
あるホテル会社の元社員が、上司からお酒を強引に飲まされるなどのパワハラを受けたとしてその上司と会社を訴えました。
飲み会の席で
「俺の酒が飲めないのか」
「少しくらいなら飲めるだろう」
「酒は吐けば飲めるんだ」
と、飲酒を強要されたというのです(なんか、どれも聞いたことがあるようなセリフですが…)。
では、この裁判の結果はどうなったか?
その元社員に対し150万円の慰謝料を払うようにという判決がでました。つまり、「お酒の強要はパワハラ」と認められたのです。
※注:ただし、お酒の強要だけに対して150万円の慰謝料が認められたわけではありません。
これは、お酒を強要することは単なる迷惑な行為ではなく「違法」と認められたということです。
さて、みなさんの会社ではいかがでしょうか。「たかがお酒の席で」と考える社員の人が1人でもいるとそれは非常に危険です。万が一の場合は、そのお酒を強要した社員(ほとんどの場合は上司)だけでなく、会社もその責任を負わなくてはなりません。そうならないためにも、パワハラ研修などを定期的に行い「飲酒の強要はしない」という意識を持ってもらうことが大切です。
また、そのような行為を頻繁に行っている上司がいたら会社としても注意指導していく必要があるでしょう。
もちろん、「俺の酒が飲めないのか(怒)」と「俺の酒が飲めないのか(笑)」では違いますし、本来楽しいはずの飲み会の席で、部下に対する一言一句まで気にしなくてはならないというのも寂しいですが。
節度を持って、楽しい飲み会を。
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