卵は?レバーは?カズノコは?どれが「痛風」になる食材なのか

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その名の通り、吹いてきた風が患部に当たるだけでも痛いといわれる痛風。今回の無料メルマガ『アリエナイ科学メルマ』は、そんな痛風を科学的に掘り下げています。この病にご法度とされる食材がどうしてNGなのかもとてもわかりやすく解説されていますよ。

暮らしと科学:痛風とプリン体と細胞

痛風という病気は、風が吹くだけでも痛いといわれるもので、肉やアルコールの過剰摂取、肥満などが引き金となって、身体のあちこちの関節に尿酸の結晶が生じはじめ、それらが神経をダイレクト刺激することで猛烈な痛みを起こす病気です。

以上のことから贅沢病や現代病などと思われていますが、遺伝など、そうでない場合もあり、誰もが発症するリスクがある病気ともいえます。例えば台湾は世界で最も痛風が多く、健常者でも高尿酸血症の割合がかなり高いそうです。また女性より男性のほうが罹患しやすいという特徴もあり、BMI高めで肥満気味で、健康診断で高尿酸と言われたらリーチ来たという感じです。

そんな痛風がプリン体をとるのはいけないとよく言われていますが、プリン体とはなんぞ? というのをついでに知っておくと生物に対する理解が深まります。

プリン体が痛風と相性が悪いのは人間の尿酸を代謝系の仕組みと関わりがあり、以下のサイトでわりとわかりやすく説明されています。

尿酸値下げるプロジェクト.com

プリン体とは核酸を含む一部のプリン環を持つ化学物質の総称で、尿酸もまたプリン環構造を持つプリン体です。なのでプリン体が尿酸の原因というのは若干の語弊があるのですが、まぁ気にしたら負けです。

最近はプリン体をあまり気にせず食べてもじつは病気には影響せず、むしろ肉やアルコールを減らし野菜などを食べるものに増やす方が進行を遅らせることができると言われています。

これらの食品に共通することは核酸の濃度です。核酸というのはその名の通り細胞の中心たる「核」に含まれるものです。

白子に多い理由は、白子は精巣なので、精子や精子を作る前の段階の細胞が大量に含まれており、それらは減数分裂を起こしており、核酸の密度が普通の細胞より断然上がっています。加えて細胞密度も高いため、必然的に核酸濃度DNA量が多くなって以下略なわけです。

レバーは減数分裂をしているかというとそうでもなく、肝臓には1つの細胞に2つの核がある多核細胞が多いからではないかと思われます。じゃあなんで肝臓は多核なのかというと、再生のために機能しているだの、役割が多いため、1つの核では仕事が間に合わないため分担しているだの、いろいろな説があり、詳しくはわかっていないようです。

エビオスなどのビール酵母は、そのまんま分裂増殖が盛んな微生物(酵母菌)を乾燥圧縮したものであるため、食べ物としての核酸密度が異様に高まってしまっているという簡単な理由です。

このように、世間一般的に言われている常識も少し掘り下げると、中学高校程度で習うものとしっかり繋がっていたりするわけです。

image by: Shutterstock

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アリエナイ科学メルマ
著者/くられ
シリーズ15万部以上の不謹慎理系書「アリエナイ理科ノ教科書」著者。別名義で「本当にコワい? 食べものの正体」「薬局で買うべき薬、買ってはいけない薬 」などを上梓。学術誌から成人誌面という極めて広い媒体で連載多数。
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