「ベッキー騒動」とは一体なんだったのか、心理学から考える

2016.05.18
by Mocosuku
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ゲス不倫問題で一時はTVから姿を消したタレントのベッキーさん。

金スマに出演しSMAPの中居さんに心境を告白して話題になっています。

ベッキーさんの告白の内容にも、TV復帰にもさまざまな意見があるようですが、今後も復帰のうわさが出るたびに物議をかもすことは間違いなさそうです。

しかし、この春のドラマ事情を見るとなんと4本も不倫をテーマにしたドラマ…。

しかも、不倫に翻弄される女性心理を描いたドラマというよりは積極的に自分らしい不倫を生きる女性を描いたドラマが多いようです。まるでゲス不倫騒動に刺激されたかのようです。

ベッキーさんは「不倫はNG!」をきっかけに釈明会見を開くことになりました。その後のTV視聴者とスポンサーを侮る「友達で押し通す予定」というLINE騒動も、「不倫はNG!」がなければ起こり得なかったものです。

TVの視聴者はベッキーさんの不倫を戒めながら、不倫の物語を愉しんでいる…なんとも不思議な現象です。この現象の背景には何があるのでしょうか。

心理学から考えるベッキー騒動の背景

心理学で考えるとベッキーさんへの激しい批判の背景は「裏切り者探索モジュール」と「ベィビー・フェイス効果」で説明できます。

ベッキーさんは不倫とLINE上の世の中を侮る態度で「純粋で天使のような優等生」という人々の好感度を裏切りました。人の脳には「裏切り者探索モジュール」と呼ばれるものがあります。この働きで、私たちは本能的にいち早く裏切り者を発見して懲罰を与えようとします。

さらにこのモジュールの働きで、裏切り者への懲罰を「気持ちいい!」とも感じます。

「目には目を」ではありませんが、裏切りが大きいほど懲罰も大きくなります。ベッキーさんは長く幅広く活躍していたので、それだけ裏切りが大きく感じられたのでしょう。

裏切りをさらに大きく感じさせたポイントが「ベィビー・フェイス効果」です。ベィビー・フェイス効果とは赤ちゃん顔、つまり「丸顔」「大きな目」「小さな鼻」「広い額」「短いあご」「透き通るような肌」の人は「純粋」と錯覚して愛しみたくなることです。

ベッキーさんの鼻は高いですが幅が狭く、全体の印象としては「the・赤ちゃん顔」です。あまり報じられていませんが、これまでのベッキーさん人気の背景にこの効果があったことは明らかです。もちろん巧みなトークやバラエティ的な勘の良さも併せ持っていたので長く活躍できました。

しかし、類まれな容姿がもたらす純粋なイメージを上手に使えたことも長く愛された理由の一つでしょう。

ただ、成人女性のベィビー・フェイス効果には、一部の女性からは「本当に天使のように純粋なの?」と疑われて反感を買うという「諸刃の剣」のようなところもあります。これまでも「女性が嫌いな女性タレント」で上位でしたね。

今回の騒動で「やっぱり天使じゃなかった!」となり、愛でていた支持層も「裏切られた」となりました。裏切り者探索モジュールの標的となってTVから姿を消してしまいました。

ベッキー騒動はマクドナルド騒動と同じ!?

結局のところ、今回のベッキーさん騒動は「赤ちゃん顔を上手に活かしたビジネスモデル」が根本から崩壊しただけなのです。しかし、その崩壊に裏切り者探索モジュールの発動が伴ったので人々が情緒的に巻き込まれて大騒ぎになったのでしょう。

イメージとしては過去に起きた『マクドナルドの食の安全イメージへの裏切り事件』や、『ヒューザーのマンション耐震性能偽装という裏切り事件』などと同じ構造です。 

ベッキーさんは、マクドナルドやヒューザーと違って、赤ちゃん顔以外にもたくさんの魅力や才能をお持ちです。違うビジネスモデルを構築して、第二の人生を歩めるといいですね。

執筆: 杉山 崇(神奈川大学人間科学部/大学院人間科学研究科教授)

<執筆者プロフィール>

杉山 崇(すぎやま たかし)

神奈川大学人間科学部/大学院人間科学研究科教授。心理相談センター所長、教育支援センター副所長。臨床心理士、一級キャリアコンサルティング技能士、公益社団法人日本心理学会代議員。
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記事提供:Mocosuku(もこすく)

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