まさかの解約金なし。イオンスマホの「ユーザーの立場」感が侮れない

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多くの格安スマホが発表されるなか、『石川温の「スマホ業界新聞」』の著者でケータイ/スマートフォンジャーナリストの石川温さんイチオシなのはイオンスマホ。解除金なし、契約期間の縛りなしで話題になりましたが、その真相はイオンスマホ統括の橋本氏のスマホ業界の常識をひっくり返す考えからでした。その真相についても詳しく紹介しています。

キャリアにはない視点で勢力を拡大するイオンモバイル

2月18日、イオンリテールはMVNO事業者になると発表した。これにより、1GB月額480円からのプランなど、全29種類の料金プランを揃える。

これまで「イオンスマホ」として提供していたサービスは、日本通信やビッグローブ、IIJといったMVNOの商品を扱う販売代理店という位置づけであった。

イオンスマホが登場して、この4月で2年となるが、2月26日から従来のMVNO各社のサービスだけでなく、イオンオリジナルの料金プランも扱うようになる。スーパーでいえば、トップバリューのようにプライベートブランドを立ち上げるのに近いのかも知れない。

販売代理店ではなく、MVNOとしてのサービスに踏み切る背景として、イオンリテール株式会社住居余暇商品企画本部、橋本昌一デジタル事業本部長は「(販売代理店は)商品で言えば、メーカーと問屋、小売りという関係だが、(MVNO参入で)できるだけ短い流通経路でコストダウンにつなげたい。その差をお客様に還元したい」という。

今回、イオンモバイルでは全国213店舗ですぐに対応できるアフターサービスを展開していく。端末が故障した場合もユーザーが直接、メーカーに依頼するのではなく、イオンモバイルで修理を受け付ける。さらに端末を預けている期間は代替機も用意するという徹底ぶりだ。

MNPにも即日対応するし、スマホの初期設定なども店員が行ったうえで手渡される。

格安スマホ市場は、リアル店舗でいかに販売、サポートできるかがカギとなりそうだが、イオンモバイルはその点において、かなり他社を出し抜いたのではないだろうか。

これまで単に購入するだけでなく、その後の故障時においても「駆け込み寺」として、店頭が存在するのは、スマホ初心者にはかなりありがたいはずだ。

橋本氏に取材をしていると、いつも通信業界の人とはまったく違う考え、常識で、格安スマホを提供しているので、本当に驚かされる。

今回も、「解約金なし、契約期間の縛りなし」の話題になったのだが、橋本氏は「お客様が解約をするというのは、我々に不満を感じたからに他ならない。本来ならお詫びをしなくてはいけない立場なのに、解約金を取るなんておかしな話だ」というのだ。キャリアの偉い人たちに聞かせたい言葉だ。

確かに、本来なら「満足せず、嫌だから辞める」のであって、さらにお金を請求されるなんておかしな話だ。

キャリアの人たちが「お客様満足度」や「お客様視点」とか言っているが、イオンモバイルのほうがよっぽどユーザーの立場になっている感がある。

格安スマホのプレイヤーは熾烈な競争を繰り広げているが、イオンモバイルに関しては、かなり侮れない存在であるといえるだろう。

image by: Shutterstock

 

『石川温の「スマホ業界新聞」』 より一部抜粋

著者/石川 温(ケータイ/スマートフォンジャーナリスト)
日経トレンディ編集記者として、ケータイやホテル、クルマ、ヒット商品を取材。2003年に独立後、ケータイ業界を中心に執筆活動を行う。日経新聞電子版にて「モバイルの達人」を連載中。日進月歩のケータイの世界だが、このメルマガ一誌に情報はすべて入っている。
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