風邪薬に風邪を予防する効果はゼロ。ならばドリンク剤は?

sinkoro_0924
 

これからの季節、肌寒く空気が乾燥してくると気を付けなければいけないのが「風邪」。今回、風邪薬を飲めばひと安心!といえなくなる事実が判明しました。なんと、風邪薬には風邪そのものを治す効果がゼロだと、『しんコロメールマガジン「しゃべるねこを飼う男」』の著者で医学博士のしんコロさんが断言しています。その真実とは……?

Question

風邪のひきはじめに効く薬は?

shitumonちょっと喉が痛いな…とか鼻がグズグズするな…と思うとすぐに市販の風邪薬を飲みます。

数回飲めば大抵は治るので、しばらく病院には行っていません。仕事が忙しかったり、大切な予定がある時など、今は風邪をひいている場合ではない!という時はいつも以上に用心する意味で飲むことがあります。

市販の風邪薬を飲むことで風邪を予防することはできるのでしょうか?また、ドラックストアに風邪薬を買いに行くと一緒にドリンク剤を勧められることがありますが、お値段がピンキリでどのランクを選べばいいのかわかりません。選ぶ時のポイントはありますか?

しんコロさんの回答

風邪を治す薬を開発したらノーベル賞もの」なんていうジョークを聞いたことがある方もいらっしゃるかと思います。これはどういうことかというと、風邪薬は風邪(主にウイルス感染)そのものを治すことはできず、あくまでも感染の結果生じる不快な症状を抑えるだけだからです。そして、この不快な症状は、実はウイルスが直接起こしているのではなく、免疫が活発に活動している時に熱や炎症として現れる、いわば自己防御反応なのです。

ということで、結論を申し上げると、風邪薬には風邪を予防する効果は全くありません。といっても信じられないかもしれませんので、もう一度言うと、本当に予防する効果はゼロです。

風邪薬の上手な使い方は、不快な症状が出て睡眠が妨げられて体力が消耗するような場合です。風邪薬を飲んで症状を抑えてしっかり休むことで、その間に体の免疫がウイルスを駆逐してくれます。

さて、栄養剤ですが、「アルギニン配合」「タウリン配合」などというものを見かけますね。アルギニンはアスリートがサプリメントとして使うことがありますが、オメガ3脂肪酸と一緒に摂取すると感染症による組織ダメージの回復に効果があるという最近の報告もあります。

タウリンも、肝機能を促進するなどの効果が知られています。それらの意味で、これらの物質が風邪の回復時に役立つこともあるかもしれません。
しかしその一方で、栄養剤にはカフェインが多く含まれているものがあり、「元気になった」気がしているだけのものも少なくありません。
また糖分が多かったり、合成甘味料が使われているものも多くあります。合成甘味料の一部は、急性の毒性はなくても腸内細菌叢のバランスに悪影響を及ぼすかもしれないという科学的な報告も最近出てきました。

アルギニンは大豆製品や肉に、タウリンは魚介類や内蔵に多く含まれており、食品から摂取することも十分可能です。 栄養剤を使わずに、鶏肉と野菜を煮込んだスープを食べて、マルチビタミンをサプリメントとして補給し、症状が辛い場合は風邪薬を使用する、というのが僕のおすすめの風邪の対処法です。

image by:Shutterstock

 

 

print
いま読まれてます

shinkoro

しんコロメールマガジン「しゃべるねこを飼う男」
著者:しんコロ
ねこブロガー/ダンスインストラクター/起業家/医学博士。免疫学の博士号(Ph.D.)をワシントン大学にて取得。言葉をしゃべる超有名ねこ「しおちゃん」の飼い主の『しんコロメールマガジン「しゃべるねこを飼う男」』ではブログには書かないしおちゃんのエピソードやペットの健康を守るための最新情報を配信。
≪初月無料/購読はこちらから≫

  • 風邪薬に風邪を予防する効果はゼロ。ならばドリンク剤は?
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け