温泉好きで知られる日本人。ある調査では、回答者のおよそ8割が「温泉好き」と答えたそうです。
また、「1年に温泉に行く回数」を聞いたところ、20代の女性が「平均2.73回」と答えた一方で、30代~40代の女性は「平均4.63回」で、30代以降になると、温泉に行く回数が増えることが分かりました。
そこで今回は、温泉大好き女子知っておきたい、温泉の効果や泉質についてご紹介します。
治療効果がある「療養泉」
温泉には、いくつかの種類がありますが、そのうち医学的に治療効果のある温泉水のことを「療養泉」といいます。
療養泉は主成分によって10種類の泉質に分類されており、共通して効果が見られる一般適応症のほかに、泉質別適応症があります。
これらの適応症の中には、女性に多いと言われている、関節リウマチや冷え性、便秘、自律神経不安定症、鉄欠乏性貧血なども含まれています。泉質の種類とそれぞれの適応症は以下になります。
一般適応症(浴用)
・共通して効果が見られる適応症
筋肉又は関節の慢性的な痛み又はこわばり(関節リウマチ、変形性関節症、腰痛症、神経痛、五十肩、打撲、捻挫などの慢性期)、運動麻痺による筋肉のこわばり、冷え性、末梢循環障害、胃腸機能の低下、軽症高血圧、耐糖能異常(糖尿病)、軽い高コレステロール血症、軽い喘息又は肺気腫、痔の痛み、自律神経不安定症、ストレスによる諸症状(睡眠障害、抑うつ状態など)、病後回復期、疲労回復、健康増進
10の泉質と泉質別適応症
(1)単純温泉
浴用:自律神経不安定症、不眠症、抑うつ状態
(2)塩化物泉
浴用:きりきず、末梢循環障害、冷え性、皮膚乾燥症
飲用:萎縮性胃炎、便秘
(3)炭酸水塩泉
浴用:きりきず、末梢循環障害、冷え性、皮膚乾燥症
飲用:胃十二指腸潰瘍、逆流性食道炎、耐糖能異常、高尿酸血症(痛風)
(4)硫酸塩泉
浴用:塩化物泉に同じ
飲用:胆道系機能障害、高コレステロール血症、便秘
(5)二酸化炭素泉
浴用:きりきず、末梢循環障害、冷え性、自律神経不安定症
飲用:胃腸機能低下
(6)含鉄泉
飲用:鉄欠乏性貧血
(7)酸性泉
浴用:アトピー性皮膚炎、尋常性乾癬、耐糖能異常、表皮化膿症
(8)含ヨウ素泉
飲用:高コレステロール血症
(9)硫黄泉
浴用:アトピー性皮膚炎、尋常性乾癬、慢性湿疹、表皮化膿症(硫化水素型の場合末梢循環障害も)
飲用:耐糖能異常、高コレステロール血症
(10)放射能泉
浴用:高尿酸血症、関節リウマチ、強直性脊椎炎など
美肌効果はあるの?
温泉と聞くと、美肌効果や美容効果をイメージする人も多いと思いますが、「美肌や美容」というのは、疾患ではないため、適応症の中には含まれていません。
では、なぜよく「美肌効果」が注目されるのでしょうか?
それには、温泉のpH(水素イオン指数)が関係しているようです。pH値はpH7を中性として、それより小さくなるほど酸性が強く、それより大きくなるほどアルカリ性が強くなります。
肌に与える効果としては、酸性の温泉は殺菌効果に優れ、古い角質を除去してくれます。また、アルカリ性の温泉には、お肌の汚れを落とす効果があると言われています。それは、皮脂とアルカリ泉が作用すると界面活性作用と乳化が起きて、まさに石鹸で洗っているようにツルツル・ヌルヌルした感じがするのです。
しかし、肌の強さや受ける刺激は人によって異なるため、なかには刺激が強いと感じる人もいます。お肌に合わないと感じたり、体調に変化があった場合は、無理せず、上がるようにしましょう。
このように、女性にとってうれしい効果が期待できる温泉ですが、温泉には一般的禁忌症、泉質別禁忌症、含有成分別禁忌症などがあり、注意が必要な方もいます。これらの禁忌症や注意事項は、掲示が義務付けられている「温泉分析表」に載っていますので、よく読んで上手に温泉を利用しましょう。
執筆:井上愛子(保健師)
監修:坂本忍(医師、公認スポーツドクター、日本オリンピック委員会強化スタッフ)
参考:
カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社「温泉に関するアンケート調査」