まだまだ増える? 「高齢者の運転」 による自動車事故…

2016.05.20
by Mocosuku
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高速道路の逆走など、高齢者の運転による自動車事故のニュースが相次いでいます。

特に高速道路の逆走事案は、その約半数が75歳以上の高齢者によるものとされており、制度の改正などによる対策が協議されています。いまのところ運転免許にはいわゆる「定年」がなく、運転を継続するかしないかの大部分は本人の自己判断に委ねられています。
今後、認知症が懸念される運転者に対してどのような対策をとるべきなのでしょうか?

75歳以上になると「認知機能」の検査

現行の制度では、75歳以上の人は運転免許を更新する際に「高齢者講習」と「講習予備検査」と呼ばれる認知機能の検査が義務づけられており、この2つを受けない限り免許の更新はできない決まりになっています。ただし、その基準は決して厳しいとは言えません。

講習予備検査では、認知症の進行度を3段階で判定します。仮に、ここで「判断力・記憶力が低くなっている」という認知症が最も懸念される「第1分類」になったとしても、過去1年間に信号無視や一時不停止などの違反行為がなければ、免許を更新できるのです。

高齢者の運転認知症対策を焦点とした改正案も

この現行制度の問題点を踏まえて、警視庁が今月15日に発表したのが「道路交通法改正試案」です。

この試案には、現行の検査を利用した「認知症の進行具合の確認強化」が盛り込まれており、更新時に第1分類と判定された場合は、医師の診断が義務づけられます。そして、診断で認知症と確定した場合は、現行の制度とは違い、過去に違反がない場合でも免許が取り消されます。

移動手段としての「足」をどうするか?

しかし、特に地方などにおいては自動車が人々の主要な移動手段となっており、買い物ひとつとっても車が欠かせなくなっている地域も少なくありません。

免許制度の改正と並行して、高齢者が気軽に使える公共交通機関や移動支援サービスの整備は必須といえるでしょう。

また、認知症の進行には個人差があるため、検査では「問題なし」という結果が出ても、次の免許更新までの3年間に症状が進行してしまうケースも懸念されています。

そこで今回の試案では、検査では問題がなかった人でも、一定の違反を起こした場合は臨時検査が義務づけられ、認知機能の低下が懸念されたときは講習を受ける、といった対策も盛り込まれています。

高齢者の運転「運転をやめる」にはサポートが必要

上記のように、高齢者が運転をやめると、生活に大きな不便を伴う場合もあります。

こういったケースでは、家族や知人などが運転をやめた人のフォローをしていくことが大切です。また、運転することが楽しみ、という高齢者には、運転以外の楽しみや生きがいをサポートする活動が必要とされるでしょう。

そして、高齢者自身も、万が一自分の運転に「危険」を感じた場合には、周囲に相談したり、免許を返納したりする勇気を持つことが、事故を未然に防ぐためには大切なのかもしれません。

執筆:Mocosuku編集部

 

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記事提供:Mocosuku(もこすく)

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