中国の「海のシルクロード構想」に危機感を持ったインドがここにきて本格的に動き出し、さまざまな国との外交を活発化しています。この大国がどのような動きを見せるのか、さらにインドを取り巻く各先進国の今後について、さまざまなメディアで活躍中の嶌信彦さんが自身の無料メルマガ『ジャーナリスト嶌信彦「時代を読む」』で分析・解説しています。
大国インドを忘れてないか
大国・インドの存在感がこのところ国際社会でじわじわと高まってきている。大きなきっかけは、中国が大経済圏構想“一帯一路”を着々と進め、海のシルクロードと呼ぶ西アフリカから東南アジアに至る海路にも地歩を固めつつあるからだろう。インド洋を“わが海”と考えていたインドからすればじっと黙視しているわけにはいかずインド外交を活発化させてきたのだ。
中国は海のシルクロードを構想、強化するため、インド周辺のバングラデシュ、パキスタンなどに港湾整備の経済協力を進め租借権を結んできた。またネパールに親中政権が発足、さらにインド洋でもスリランカ、モルディブ、アラビア半島とアフリカに挟まれた紅海の出口に位置するジブチなどに触手を伸ばしシーレーンの強化に努めている。
こうした中国のインド洋進出の進行や覇権掌握の動きに危機感を持ったインドが本格的に動き出してきたのだ。9月に行なわれたインド洋要衝の島・人口43万人のモルディブの大統領選挙では親中国派だった与党・進歩党の現職を親インド・欧米派候補が破り、圧勝で巻き返しに成功した。
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