誰が「玉城デニー当選なら沖縄は中国に」というデマを流したのか

arata20181004
 

台風24号の直撃を受ける中行われた沖縄県知事選で、与党が推す候補者に圧勝した玉城デニー氏。沖縄県民は、米軍普天間飛行場の辺野古への移設に反対の立場を崩さなかった翁長前知事の遺志を継ぐ玉城氏を選択したわけですが、選挙期間中、様々な誹謗中傷等が流れたのも事実です。元全国紙社会部記者の新 恭さんは自身のメルマガ『国家権力&メディア一刀両断』で、その最たるものである「玉城デニーが当選すると沖縄が中国に乗っ取られる」というデマゴギーが囁かれた背景を探るとともに、その荒唐無稽さを明らかにしています。

沖縄知事選で乱れ飛んだ「玉城勝利なら沖縄が中国になる」という噂

沖縄県民は翁長路線を継承する玉城デニー氏を新知事に選んだ。

ジュゴンの棲む美しい海を埋め立てて、米海兵隊の辺野古基地を建設しようとする日本政府の計画を阻止すべく、死の間際まで闘った前知事の遺志は県民の心にしっかりと生きていた

それにしても、思いのほかの圧勝だった。猛烈な台風に襲われるなか、投票率は63.24%にのぼり、玉城デニー候補39万6,632票、佐喜真淳候補31万6,458票と、実に8万票以上得票率にして11.2%もの差がついた。

安倍政権はかつてないほどの応援部隊を送り込み、総力戦を繰り広げたが、空回りしがちだったと見える。

菅官房長官が小泉進次郎氏を従えて「ケータイ料金を4割下げる」と、昨今の持
をぶったのも、カネや人気をあてこんで人心を釣ろうとする魂胆をさらけ出し、県民感情を逆なでした。

公明党は自主投票だった前回と違って自民党に足並みをそろえた。だが、創価学会員の一部は、公明党本部の方針に従わず、玉城陣営についたといわれる。

接戦が伝えられるなかで、自民党は異常なほどのネガティブキャンペーンを繰り広げた。さまざまなデマ、フェイクニュースが乱れ飛んだ。ほとんどは取るに足らない誹謗中傷ばかりだった。

翁長県政の継承者として「弔い合戦」に挑む玉城氏へのあまりに酷い流言飛語は発信者の意思とは逆に作用したかもしれない。安倍政権への強い不信感を増幅させたともいえる。

ただ、気になるものがひとつだけあった。「玉城デニーが当選すると沖縄が中国に乗っ取られる」というたぐいの言説や噂だ。「中国になりたくない」と若者が本気で言っているという情報がネット上をかけめぐった。

どこからそのようなデマが流されているのか不思議だった。翁長前知事も玉城デニー氏も、辺野古基地建設に反対しているだけであって、日米関係を否定しているわけでもなく、沖縄の全ての基地を撤去せよと求めていることもない。

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