元凶は経団連。日本にアップルもアマゾンも生まれない当然の理由

arata20180927
 

日本財団の笹川陽平会長がブログに投稿した「経団連は今や軽団連?」との嘆きに、当の経団連会長・中西宏明日立製作所会長が過剰とも言える反応を見せています。元全国紙社会部記者の新 恭さんは、自身のメルマガ『国家権力&メディア一刀両断』でその内容を紹介するとともに、中西会長の「経団連がデジタル革命を牽引する」という主張について懐疑的な意見を綴っています。

経団連の旗振りで未来型ビジネスにモデルチェンジできるのか

山梨県鳴沢村の別荘で毎年、安倍首相らと夏休みを過ごす日本財団の笹川陽平会長が9月19日、自身のブログで、こんな事実を明かした。

「経団連は今や軽団連?」と題し、安倍政権に追従する経団連の現状を8月13日のブログで嘆いたところ、経団連会長に就任して間もない中西宏明日立製作所会長から長文のメールによる書簡を拝受した」というのである。

中西氏といえば、葛西敬之JR東海名誉会長や古森重隆富士フイルム会長らとともに、安倍首相をとりまく財界人グループのメンバーだ。“アベ友”という点では笹川氏と同じだが、互いに面識があるかどうか定かではない。

肝心のやりとりに話を戻そう。笹川氏の方はブログに投稿しただけで、返信はもちろん、経団連の関係者が読むかどうかも、さほど意識していなかったのだろう。実にのびやかに思いのたけを綴っている。そのキモといえる厳しいご意見が、これ。

かつて経済団体連合会の会長は財界総理といわれ、政治指導者からも一目置かれる存在だった。然るに最近は、労使の賃金交渉の主導権を官邸にとられ、経済政策もアベノミクスに追従するばかり。…国家観も国民を納得させる経済政策も感じられず、官邸に追従する存在に成り下がってしまっている。

笹川氏が「経団連」を「軽団連」と揶揄する理由がよくわかる。ただし、重いよりは軽い存在であってくれたほうが、この国の経済発展にとってプラスでは…というのは筆者のひとりごとだ。

もっとも、笹川ブログの「愛読者」と称する中西氏としては、これを読んだ以上、黙ってはおれなくなったとみえ、電子メールながら、丁寧な「反論」におよんだわけである。

中西氏のメールの概略はだいたい以下のような内容だ。

個人消費の伸び悩み解消策には賃金を上げる必要があると総理自ら企業経営者に賃上げを要請しているが、私もここ20年以上、賃金の上昇を抑えすぎてきたと思う。経団連は5年以上に渡るアベノミクスの成果を高く評価している。安倍政権以前の経済6重苦は大きく改善された。

官邸に追従しているのではなく安倍総理の政策に納得しているのだと主張する。いまの経団連にも主体性があるのだと言いたいのだろう。

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