子供に習い事をさせたいけれど、何が向いているのかわからず悩んでいるという「習い事難民」と呼ばれる親が増えているそうです。そこに目をつけ特徴的な事業を展開する企業が注目されています。今回の無料メルマガ『MBAが教える企業分析』では著者でMBAホルダーの青山烈士さんが、人気の習い事教室の戦略と戦術を詳しく解説しています。
仮説検証の大切さ
習い事教室を特徴的な内容で展開している店舗を分析します。
● 企業の新規事業支援やコンサルティング事業を手掛けるGOBインキュベーションパートナーズが運営する「PAPAMO」が展開する「PAPAMOスクール」
戦略ショートストーリー
子どもに向いている習い事を見つけることが難しいと感じている方をターゲットに「独自開発のメソッド」に支えられた「1ヶ所で多様な習い事ができる」等の強みで差別化しています。
「スポーツからアートまで! 年間10種類以上の習い事に取り組める教室」という話題性で注目を集め、子どもが楽しく通える習い事として、顧客の支持を得ています。
■分析のポイント
仮説検証の大切さ
「PAPAMO」が実施した3~5歳の未就学児を持つ首都圏在住の親300名を対象にした「こどもの習い事と遊び」に関するアンケート調査によると
- 約7割の親が、自分のこどもに何が向いているかわからない「習い事難民」であることがわかった。
→子どもに向いている習い事を見つける難しさを感じていることが伺える。 - 7割近くの親が未就学児のうちは多くの習い事を体験させたいと思っているものの、8割の家庭で2つ以下となっていることがわかった。
→特定の習い事に絞らざるを得ない現実が伺える。
といった結果が得られたようです。
「習い事難民」という言葉は初めて聞きましたが、同じ未就学児を持つ親としては共感できます。親でも子どもが何に夢中になるかは、わからないものです。習い事としては水泳や英語が人気ですがこのアンケート結果を見ると、子どもの向き不向きに関わらずとりあえず習わせている方も多いかもしれませんね。
また、多くの習い事を体験させたいというニーズを持つ親も多いようですね。ですが、現実的には、時間もお金も限りがありますから、特定の習い事に絞らざるを得ないというのもわかります。
これらの親の問題を解決するためにオープンしたのが「PAPAMOスクール」ということです。親の抱えている悩みにフォーカスした、目の付け所の良いサービスだと思います。
実は「PAPAMOスクール」は正式オープン前にプレオープンを3教室で実施しています。その結果、2教室でキャンセル待ちが出るほど盛況だったようで、参加者アンケートでは、100%の保護者の方に満足の回答をもらえたとのことです。これらが何を意味しているかというと、十分な準備をしたうえでオープンしているいうことです。
恐らく「習い事難民」や「特定の習い事に絞らざるを得ない親」が一定数存在するのではないかという仮説を検証するためにアンケートを実施して、仮説の確からしさは得られたはずです。
しかし、「PAPAMO」の場合、そこで終わらずに、仮説をより正しいものにするためにプレオープンをすることで実際にサービスを提供し顧客ターゲットである親の反応を確かめています。結果として、盛況だったので、仮説はほぼ正しいと判断されたということでしょう。その後、都内に2店舗をオープンし、多店舗化も視野に入れているようです。
このように見てみると「PAPAMOスクール」のオープンまでに入念な準備がされていることが伺えます。「仮説検証」はビジネスの基本ですが「PAPAMOスクール」は「仮説検証」を丁寧に行うことの大切さを改めて考えさせてくれる好事例だと思います。
オープンした2店舗でも様々な仮説検証を繰り返しながら多店舗化を現実のものにしていくのではないかと思われますので今後に注目していきたいです。