訪日外国人だのみの大阪・黒門市場で突然、閑古鳥が鳴いた理由

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訪日外国人に合わせたスタイルへ切り替えて繁盛していた大阪・黒門市場が今年、一気に閑古鳥が鳴く事態に直面していたことをご存じでしょうか。関西国際空港が一時閉鎖された、あの台風です。今回の無料メルマガ『繁盛戦略企画塾・『心のマーケティング』講座』では、著者で繁盛戦略コンサルタントの佐藤きよあきさんが、訪日外国人に依存する日本の観光地の現状について、長く商売を続けていくためには「お店の方向性を明確にするべき」と苦言を呈しています。

訪日外国人・大歓迎!で、良いのか?

大阪黒門市場。かつては大阪の台所と言われ、飲食店の仕入れや日常的な買い物の場として、賑わっていました。正月前ともなると、おせち用食材を買う人たちで、歩くことも困難な状況でした。

しかし、外国人による日本ブームが起こると、黒門市場も注目を集め、お客さまの7割が外国人となってしまいました。観光で来た外国人は、気前良くお金を落とすので、それに合わせた商売をするお店が増えてきたのです。店先で食べられるものを販売したり、イートインスペースを設けるなど、外国人大歓迎となったのです。外国語のできる店員さんを雇うお店もあります。

私も何度か足を運んだことがありますが、その当時はごく日本的な活気ある商店街でした。商品の質も高く、品揃えも豊富です。ところが、日本ブームの始まり以降、まったく違う商店街へと変貌したのです。まるで、食のイベント会場です。外国語が飛び交い、通りの両サイドは、買い食いする人たちで溢れかえっています。

この人の多さとお店の様変わりによって、常連さんがどんどん離れていきました。しかし、お店としては、外国人を相手にしている方が儲かるので、将来への危機感もなく、流れに乗ってしまったのです。この外国人たちが来なくなったら…という考えに至っていないのです。儲かる時に儲けておこう、と腹をくくっているのかもしれませんが。

そんな状況の中で起こった大問題。外国人の足である関空が台風被害によって一時閉鎖されました。すると、黒門市場への影響が如実に現れました。寂れた商店街状態となったのです。日本人の常連さんが少なくなったいま、外国人が来なければ、閑古鳥が鳴きます。一瞬にして、危機的な状況です。店主たちは、関空の再開を待つしか、手立てがありませんでした。

ここに、外国人を相手に商売する危うさがあります。幸い、関空が早く再開したので、徐々に外国人は戻って来ていますが、以前ほどの賑わいではありません。災害の多い現在の日本では、またいつ同じようなことが起こるかわかりません。実際、日本各地で大災害が起こっていることで、「日本は危険だ」と認識する外国人が増えています。

こうした情報はすぐにSNSで拡散されるので、日本ブームが終わりを迎える日は、そう遠くないのかもしれません。その時、外国人頼みの商売をしているお店は、潰れるしかありません。この先、長く商売を続けたいのなら、いまの勢いに流されず、お店の方向性を明確にしておくべきです。

image by: Shutterstock.com

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なぜ、人はモノを買いたくなるのか。欲しいという感情は、どこから生まれるのか。消費行動における人の心理を知れば、売れるモノが見えてくる。売り方がわかる。小手先のテクニックなど、いらない。人を研究すれば、やるべきことはすべてわかる。

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【著者】 佐藤きよあき(繁盛戦略コンサルタント) 【発行周期】 週刊

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