池田教授「人生100年は嘘。70歳代でも働かせようとする陰謀」

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長寿ギネス記録が21年間破られておらず、この先7年間も維持されるというのをご存じでしょうか?「ホンマでっか!?TV」でもおなじみの池田教授は、自身のメルマガ『池田清彦のやせ我慢日記』で、「人生100年」は生物学的に無理があることを解説。その陰に、年金制度の破綻がわかっている国による胡散臭い思惑が感じられると鋭く指摘しています。

人生100年の嘘八百

近いうちに人生100年になるという話が独り歩きをしているようで、これはいったい願望なのか、陰謀なのか、それとも単なる妄想なのか、詳らかにしないが、ウソ話であることだけは確かである。年金の財源が破綻するのが自明なので、支給年齢を引き上げ、70歳を過ぎても年金を支払わないで働かせようとの陰謀じゃないかしらと、疑り深い私は思っている。平均寿命が100歳なのに、70歳代で働かないで餓死するのは、自己責任であると言い出しかねない。

先進国の寿命は1日5時間ずつ伸びているので、2045年には平均寿命が100歳に達する、などと宣う御仁がいるが、出生率が減り続けているので、そのうち日本人の人口はゼロになるとか、100年後に地球の気温は摂氏4度上昇するとかいった予測と選ぶところのない机上の空論である。自然現象はいつまでも同じ率で変動するわけではない、という当たり前のことが分かっていない。

内閣府の予測では、2060年に平均寿命は男性84.19歳、女性90.93歳となるという。平均寿命とは0歳児の平均余命で、65歳の平均余命は男性22.33年、女性27.72年となる。2060年に65歳の人は、男性は平均87.33歳、女性92.72歳まで生きることになるという。人生100年には程遠い。この予測とても希望的な数値で、その通りになるかどうかは今の段階では何とも言えない。同じ予測でも、もう20年も前から、年金制度は近未来に破綻することが分かっていたのに、具体的な方途を講ずることをせず、今頃になって泥縄式に人生100年などというのはいかにも胡散臭い。

生物学的に言うと最大寿命は種によって決まっていて、ヒトでは大凡115歳である。もちろん例外的には115歳以上生きた人はいる。しかし、データがはっきりしている人に限れば、115歳以上生きた人は全世界で50人に満たない。現在地球人口は約76億人だが、115歳以上の生存者は3人だけですべて女性である。2人は日本人、1人はイタリア人。最高齢は115歳の日本人女性だ。最大寿命が115歳で、平均寿命が100歳ということは確率的にも無理だと思う。

ギネス記録はジャンヌ・カルマン(女性)の122歳164日。彼女が亡くなったのは1997年なので、この記録は21年間破られていないばかりでなく、少なくとも後7年間は破られない(現存する最高齢の人が122歳に達するには7年かかる)。またここ20年間、生存者の最高年齢は頭打ちというより、むしろ下がり気味なので、ヒトの最大寿命には上限があると考えて間違いない。

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