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住み続ける地獄。『すべてのマンションは廃墟になる』書評=姫野秀喜

今回の書評は『すべてのマンションは廃墟になる』。建て替え不可能のマンションが壊れて周囲を危険にさらす。日本で最もヤバい負動産は老朽化したマンションかもしれません。(『1億円大家さん姫ちゃん☆不動産ノウハウ』姫野秀喜)

プロフィール:姫野秀喜(ひめの ひでき)
姫屋不動産コンサルティング(株)代表。1978年生まれ、福岡市出身。九州大学経済学部卒。アクセンチュア(株)で売上3,000億円超え企業の会計・経営計画策定などコンサルティングに従事。合間の不動産投資で資産1億円を達成し独立。年間100件以上行う現地調査の情報と高い問題解決力で、顧客ごとに戦略策定から実行までを一貫してサポートしている。

建て替えが必要な老朽化マンション、たった1.8%しか実施せず…

『すべてのマンションは廃墟になる』著:榊淳司/刊:イースト・プレス

すべてのマンションは廃墟になる』著:榊淳司/刊:イースト・プレス

本当にヤバいのは所有者がバラバラの区分マンション

レオパレスやダイワなど、大手建設会社の物件が施工不良などで取り沙汰されています。しかし、本当にヤバいのは、所有者がバラバラの区分マンションのようです。

建て替えが必要な古いマンションのうち、たったの1.8%しか建て替えられていない事実。

マンションの管理組合を私物化して予算を好き放題に使う悪徳マンション理事など、利害関係の異なる他人同士が1つの建物を30年にわたって維持し続けることの難しさは、一戸建てや一棟アパートの比ではありません。

今回の書評は、住宅ジャーナリスト・榊淳司氏によるマンション本です。

氏は本書で、穴だらけの区分所有法など仕組み上の欠陥により、廃墟化する未来しか見えないマンションについて警鐘を鳴らしています。

この本はコンセプト上、悪いことしか書いていないので、正直、区分所有を買うことにはリスクしか感じられない内容となっています。

しかし、それらを正しく理解したうえで、区分所有マンションを購入する・しないを決めることが、正しい投資家の意思決定方法なのだと思います。

それでは早速、そのヤバい内容を見ていきましょう。以下、著者の言葉を抜粋しながら紹介します。

ヤバい不動産の代表格「リゾマン」

新潟県の湯沢町

には

約15000戸分のリゾートマンションが建設された

かつては三〇〇〇万円から五〇〇〇万円以上で販売されたリゾートマンションが、今やその価値がゼロ円。

大半の人が絶望感を味わいながら、管理費や修繕積立金 <中略> を払っている。

その費用は三〇平米程度の狭い住戸でも、年間三〇万円前後

拙著でも述べていますが、今やリゾマンは売りたくても売れない状態です。

立派な大浴場付きでも、使いたくなくなる理由

そういったリゾマンは、

多少老朽化したとはいえ、設備が立派である。

豪華絢爛な展望大浴場もある

が、そのお風呂は

お湯を使いまわす「循環ろ過」式

あるリゾートマンションでは、理事たちは絶対にお湯に浸からないと聞いたことがある

住民には、

身体の弱った高齢者も多いようで、様々な問題が起こる

大浴場では、しばしばお湯の中に固形排せつ物が見つかるという

豪華設備を使いたいと思っている方には、少し考えを改めたくなる話です。

Next: どのマンションも「施工が良い」とは言い切れない裏事情

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