語り継がれるのには訳がある。納得できる美しいドラッカーの教え

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「マネジメントの父」「自己啓発の友」と呼ばれるピーター.F.ドラッカーの教えを伝え続ける、ドラッカー学会。今回の無料メルマガ『致知出版社の「人間力メルマガ」』では同学会理事の佐藤等さんが、『経営者の条件』などドラッカーの名著を引用しつつ、顧客の変化・組織の成果の観点から個人の貢献はどうあるべきかについて考察しています。

仕事と人生に生かすドラッカーの教え ドラッカー学会理事 佐藤等

「貢献」と聞くと社会貢献という意味を思い浮かべる人も多いと思います。

結果としてそこに通じるのですが、ドラッカーが用いた「貢献」とは、組織が成果をあげるために一人ひとりが組織の中でどのような貢献をなすべきかと考えることです。具体的には、上司、部下、同僚に対して次のように聞くことです。

「あなたが組織に貢献するためには、私はあなたにどのような貢献をしなければならないか」

 

「いつ、どのように、どのような形で貢献しなければならないか」

 

(『経営者の条件』)

組織が手にする一つの成果は、多くの人の貢献がつながって実現するものです。

ちなみにドラッカーの「成果」は、組織が手にするものではなく外の世界における変化を意味します。端的にいうと顧客にどのような変化があるかということです。たとえば、学習塾の成果は成績が上がることであり、治療院は痛みが軽減することです。

どんな業種でも顧客に何の変化も起きなければやがて顧客はいなくなるでしょう。顧客満足という言葉が用いられることがありますが、その満足の中身が何かが重要です。「顧客にとっての価値は何か」や「われわれの成果は何か」を組織に属する人が共有してはじめてその組織の「なすべき貢献」が決まります。つまり組織が一定の方向を示すことではじめてなすべき貢献を決めることができるのです。こうして主体的に仕事をする組織の土台が形成されます。

「なすべき貢献」とは、自分勝手には決めらません。貢献の先に常に顧客がいるからです。つまり、「なすべきこと」は顧客が決めるということです。

なすべきことできることに変えていくことが自己開発です。仕事においては、顧客の存在抜きに「やりたいこと」が先行することはありません。目の前の「なすべきこと」は、いろいろな縁の中でたまたま自分がさせてもらっているのです。目の前のなすべき貢献、すなわち仕事をさせてもらっていることに感謝し、さらに自分を磨き高める努力を続けることです。

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