軍事アナリスト激怒。防衛省・自衛隊が怠る「平時の戦い」とは?

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産経新聞が報じた、宮古島駐屯地に保管されていた弾薬の島外搬出の理由について、メルマガ『NEWSを疑え!』を主催する軍事アナリストの小川和久さんが、呆れるとともに怒りの声を上げました。小川さんはまず、宮古島駐屯地が担う役割について解説。重要な目的とその目的遂行に不可欠な装備なども含めて、国民を納得させる説明能力こそが防衛省・自衛隊が備えるべき能力であると、「平時の戦い」の重要性を訴えています。

防衛省・自衛隊は「説明不足」では済まないぞ!

思わず目を疑ってしまいました。まずは、この記事を読んでみてください。私の気持ちをご理解いただけると思います。

「岩屋毅防衛相は2日の記者会見で、陸上自衛隊宮古島駐屯地(沖縄県宮古島市)の迫撃砲や中距離多目的ミサイルの弾薬について、島外に搬出するよう指示したことを明かした。地元への十分な説明がないまま弾薬を保管していたことに伴う措置で、岩屋氏は『不十分だった。おわびしたい』と謝罪した。

防衛省は、南西諸島防衛強化の一環として今年3月末に宮古島駐屯地を新設。初動対処を担う警備部隊約380人を配備した。同隊が装備する迫撃砲や中距離多目的ミサイルの弾薬も駐屯地で保管しているが、地元に対する明示的な説明がなかったとして反発を招いている。

防衛省は今後、島内で駐屯地とは別の場所に、今年度末にも配備される地対空・地対艦ミサイル部隊の弾薬庫を建設する予定。完成し次第、島外に撤去した迫撃砲などの弾薬も保管する方針だ。ただ、使用する警備部隊との間に距離が生じることから、初動対処の任務に影響が生じることは避けられない。」(4月2日付 産経新聞)

いったい防衛省は、宮古島に警備部隊を置く目的をなんだと考えているのでしょうか。

これから配備される地対空と地対艦のミサイル部隊を防護するだけではありません。尖閣諸島を含む島嶼部に正体不明な武装集団が侵攻を試みたとき、ただちに排除することこそ、宮古島、そして石垣島に配備される警備部隊の最重要任務なのです。武装集団を排除する能力を示してこそ、抑止力として侵攻をためらわせ、戦火を交えることなく国土と住民を守ることが可能になるのです。

それなのに、駐屯地に迫撃砲や中距離多目的ミサイルなど抑止力の中心となる弾薬を置くことができないとは、「地元への十分な説明がないまま弾薬を保管していた」といった説明では済まない深刻な事態です。

防衛省・自衛隊は、国民を納得させるだけの説明能力を備えることこそ、平時に最優先しなければならない任務であることを理解し、説明能力を磨く取り組みを始めてほしいと思います。「平時の戦い」を軽視した先にあるのは、愚かで悲惨な戦争だと肝に銘ずべきです。(小川和久)

image by: Josiah_S, shutterstock.com

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地方新聞記者、週刊誌記者などを経て、日本初の軍事アナリストとして独立。国家安全保障に関する官邸機能強化会議議員、、内閣官房危機管理研究会主査などを歴任。一流ビジネスマンとして世界を相手に勝とうとすれば、メルマガが扱っている分野は外せない。

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