「スタンプラリー外交」と揶揄される安倍首相の成果の上がらない外交。近年力を注いできた日露関係に関しても、ここにきてプーチン大統領にしてやられる可能性が大きくなってきているとも囁かれます。はたしてその真相は?今回の無料メルマガ『ジャーナリスト嶌信彦「時代を読む」』で、著者の嶌さんが分析・解説しています。
成果上がらぬ安倍外交─プーチンにしてやられる?
“売り物”だった安倍外交が、このところさっぱりだ。日米関係は貿易不均衡問題に絡み自動車、農業などで再びアメリカが攻めてくる可能性が濃厚だ。拉致問題、朝鮮半島情勢との関係も米朝首脳会談に先行され日本は置き去りにされてしまった。中国とは経済で弱っているのでかつてほどギクシャクしていないが、ITやサイバー問題などでは遅れをとり将来が心配されている。近隣の東南アジアとは政治的にも人脈的にもかつてのような親密さがない。日本をアジアの代表とは見ておらず、むしろ中国への接近が目立ち始めている。
そんな中で、最近の安倍首相は日露関係に熱心で日露平和条約を結び、安倍外交の成功のシンボルにしようとする姿勢が強くみられる。プーチン大統領と安倍首相の会談は24回を数え、日露の懸案である領土問題と日露平和条約の締結に異常なほど力を入れている。北方領土の四島返還は日本の外交当局が長年追求してきたテーマだし、ロシアと平和条約を締結することになれば、安倍外交の歴史的遺産にもなることは間違いないからだ。
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