フランクと見られがちな英語でも、敬語表現は使われます。それでも「謙譲語」「丁寧語」「尊敬語」と日本語の敬語は群を抜いて紛らわしく、ついつい混乱してゴテゴテした言葉遣いに走ってしまいがちです。今回の無料メルマガ『神垣あゆみメールマガジン ~仕事Beginのメール作法~』では著者の神垣あゆみさんが、ビジネスでありがちなシーンを参考例にして、シンプルかつ品位のあることばの作法を紹介します。
間違いやすい敬語の使い方 「部長にお伝えします」
佐藤部長はお電話中です。
職場の内線で他の部署からの問い合わせには、上記の対応で問題ありませんが、客先からの電話の場合は?
内→内 の問い合わせには、上司を高めて「お電話中です」としますが、外→内 の場合は、社内の連絡と同じ調子にはいきません。「電話中です」と状況を相手に伝えるだけでよく、上司のことだからと敬語を使う必要はありません。また、社外に対しては、上司も内側の人間として扱い、敬称は付けません。
社外の相手に伝える場合は
佐藤はあいにく電話中です。
「電話中です」の代わりに「他の電話に出ております」としてもよいでしょう。
同様に、社外の相手に連絡事項を社内の上司に伝えると言う場合
御社の意向は佐藤部長にお伝えします。
とするのもNGです。「佐藤部長にお伝えします」では、謙譲語「お伝えする」の敬意が
したがって上記の文は
御社の意向は佐藤に申し伝えます。
とするのが適切です。
このように、客先など社外の相手に対して、社内の上司への敬語をそのまま使うケースが見られますが、社外に対しては社内の上司も「身内」であり、「○○部長」といった敬称は使わず呼び捨てにし、敬語を使う対象も上司ではなく客先になります。内→内、内→外 の敬語の使い分けを混同しないように注意しましょう。
間違いやすい敬語の使い方 「読まさせていただきました」
早速、企画書を読まさせていただきました。
上記の一文に使われている「読まさせていただく」。一見、問題ないように思えますが実は……。
この場合、「さ」は不要。「読ませていただく」とすればよいのですが、謙譲語「~させていただく」が多用されていることからくる活用の間違いと思われます。
早速、企画書を読ませていただきました。
または、「読ませていただきました」の代わりに「拝読しました」としても意味は変わりません。
早速、企画書を拝読しました。
社内で検討させていただいてから、ご連絡させていただいていいですか。
この文のように謙譲語「~させていただく」を多用している文をよく見かけます。「~させていただく」が続くとすっきりしません。敬語を一文に一つ使い、整理してみましょう。
社内で検討後、ご連絡してよろしいですか。
あるいは、問いかける形式にせず言い切ると、さらに文は短く簡潔になります。
社内で検討後、ご連絡いたします。
「~させていただく」を使う前に、それ以外に言い換えることはできないか、確認してみましょう。