いかだで洋上を49日間も漂流。救助の18歳少年が教えてくれたこと

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8月31日、漁獲用のいかだで太平洋上を49日間に渡り漂流していたインドネシア人の18 歳の男性が無事救出され、大きな話題となっています。これを受け、健康社会学者の河合薫さんは自身のメルマガ『デキる男は尻がイイ-河合薫の『社会の窓』』の中で、彼女自身がバイブルとする書籍『大西洋漂流76日間』の内容を引きつつ、「あきらめたくない」という気持ちを持てるか否かが人生後半生の生き様を決めるのではと記しています。

※本記事は有料メルマガ『デキる男は尻がイイ-河合薫の『社会の窓』』2018年9月26日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め初月無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:河合薫(かわい・かおる)
健康社会学者(Ph.D.,保健学)、気象予報士。東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(Ph.D)。ANA国際線CAを経たのち、気象予報士として「ニュースステーション」などに出演。2007年に博士号(Ph.D)取得後は、産業ストレスを専門に調査研究を進めている。主な著書に、同メルマガの連載を元にした『他人をバカにしたがる男たち』(日経プレミアムシリーズ)など多数。

人生漂流時代の心構え

インドネシア外務省は、49日間にわたって太平洋上を漂流していた18歳の少年が救助され、日本で手当てを受けたのち無事帰国したと発表しました。

救助された少年は、北スラウェシ州マナドの沖合125キロの海上に浮かべた「ロンポン」と呼ばれる漁獲用のいかだで照明管理をするのが仕事で、食料と水と燃料は週1回、他の作業員が魚を回収する際に届けられていたそうです。

ところが今年7月14日、悪天候のため係留用のロープが切れ、ロンポンは沖合に流され、太平洋を漂流。はるかグアム島近くまで流されたところに、パナマ船籍の船が接近し、8月31日に発見されました。

その後、山口県の徳山港に到着し、日本当局はインドネシア領事館と連絡を取り保護。飛行機でジャカルタへ向かったそうです。

報道によると、ロンポンにあった食料や飲み水は数日後になくなり少年は魚を捕まえたり海水を飲んだり小屋の板を使って火を燃やして生き延びていたとか。

6年前にエルサルバトルの漁師が438日間漂流し、保護されたことがありましたが、18 歳の少年は健康状態も良好だそうで本当、良かったです。

大西洋漂流76日間』――。これは1981年に、小型艇ナポレオン・ソロ号で念願の大西洋横断の航海に出発したのち、クジラに激突され転覆したS.キャラハンが漂流中に正気を保つために書きつづった本で、私がバイブルとしてる一冊です。

当時30歳だったキャラハンは、転覆した時にゴム製の救命ボートに自家製サヴァイバル・キットを積み込むことができたものの、食料も飲料水もほとんど持たないまま、一人ぼっちで「海の砂漠」に投げ出されました。

彼はサヴァイバル・キット内の原始的な飲料水製造機でちょっとづつ水を作り、手製のモリで魚を捕まえ、日記をつづり、ヨガをすることで精神を整え、忍び寄るパニックや絶望と戦い続けました。

そして、76日間の漂流後に漂着したカリブ海域で地元の漁師に拾われ無事生還したのです。

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