なぜ、デキる店員は「客の不満」をわざわざ再現してみせるのか?

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顧客から圧倒的支持を得ているお店は、他店と何がどう違うのかを考えた時、「店側がお客様の本当の気持ちを理解しているか否か」であると断言するのは、接客販売コンサルタント&トレーナーの坂本りゅういちさん。坂本さんは無料メルマガ『販売力向上講座メールマガジン』で今回、かつて自身が感動したというあるお店の取り組みを例に挙げ、詳しく解説しています。

同じ条件で試す

以前、靴の販売員と営業マンをやっていた頃、あるお店でとても勉強させてもらった、というか、感動したことがありました。

その店は、普通の靴も売っているお店ですが、メインで販売しているのは、足にトラブルを抱えたお客様向けの靴でした。怪我をしてしまって、歩きにくくなってしまったり、何かの病気などで、通常の歩行が困難になってしまったような人たちのための靴を作って、販売しているお店だったのです。

私は、その店の噂を以前から耳にしていて、足にトラブルを抱えたお客様からの人気がすごいということで、営業も兼ねて、お話を聞かせてもらいに行ったのですね。

その店では、お客様の足を正確に計測して、お客様に合わせた靴を作っているとか、いろんな話を聞かせてもらっていました。しかし、話を聞いている最中に、私の目に、あるものが目に留まったのです。それは、妙な形状をしたギプスのような靴でした。大きめのブーツに、何やらいろんなものがくっついています。

それを見て、「靴にしては大きすぎて、まともに歩けそうにないような…?」と疑問に思って、「あれは何ですか?」と聞いてみました。するとそれは、お客様と同じ歩行状況を再現するために作られた靴だったのです。

その店に来店されるお客様は、ほとんどが、足にトラブルを抱えています。だから、そのトラブルを解消するための靴を販売しているわけですが、売っている側はみんな足にトラブルなど無いので、お客様の本当の気持ちがわかりません。そこで、お客様の気持ちを理解するために、あえて、同じような状況でしか歩けないような自作の装具を作っていたのですね。その店でお客様を接客するスタッフたちは、皆その靴を履いて、行動をしてみて、歩きにくいことがどれだけ辛いことなのかを理解するのだそうです。

そりゃ、お客様に選ばれます。私は、純粋にすごいと思うと同時に、お客様に対して、本当に意味では寄り添えていなかったんだろうなと、恥ずかしくなりました。

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