話題になった「レーシック手術」は、本当にリスクがないのか?

2017.06.22
by Mocosuku
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裸眼での生活を可能にする「レーシック手術」。

普段、コンタクトレンズや眼鏡にわずらわしさを感じる人にとっては、魅力的な選択肢に見えるかもしれません。

一方で、目を手術することに恐怖心を持っている方もいることでしょう。

そこで今回は、レーシック手術について、リスクも含めて説明します。

レーシック手術ってどんな目的で行うの?

レーシック手術は、「屈折矯正手術」の1つです。

屈折矯正手術は、目に屈折異常が起こっているときに行われる手術方法です。屈折異常とは、角膜や水晶体を通して入った光が網膜で焦点が合わずに、物をはっきりとらえることができない状態をいいます。

屈折異常には、遠視、近視、乱視があります。

屈折矯正手術は、この屈折異常を矯正し、裸眼での視力を良くする手術です。

屈折矯正手術にもいくつかの方法がありますが、レーシック手術は、レーザーを使って角膜の屈折を矯正する方法です。

なお、老視(老眼)は加齢によるピント調節機能の衰えが原因である(調節異常)ため、今のところ、レーシック手術によって改善することは難しいといわれています。

レーシック手術を受けられる人

レーシック手術を受けるためには次のような条件があります。

手術を行う前には、このような条件に当てはまっているかの問診や検査が行われます。
 
・18歳以上(未成年者は、親権者の同意が必要)

・軽~中等度の近視であること(近視の強さを表す屈折値が-6D以内。ただし、場合によっては-10Dまで可能)

・遠視、乱視は6D以内

・近視の度数が少なくとも1年以上安定している(1年半以上の安定が望ましい)

・角膜の厚みが十分にあり、術後に十分な角膜の厚みを残せる

・角膜の形が正常である

・白内障、緑内障、糖尿病網膜症、ブドウ膜炎など、ほかの目の病気にかかっていない

・傷の治りに影響するような重大な疾患(糖尿病、アトピー性疾患など)がない

・妊娠中・授乳中ではない

・過度に神経質ではない、精神的に安定している
 
参考:日本白内障屈折矯正手術学会

レーシック手術の方法

レーシック手術は、次の順番で行われます。

(1)消毒を行い、点眼薬を使って麻酔をかけます。

(2)角膜の表面をけずって「角膜フラップ(角膜表面の薄いフタ)」を作ります。角膜フラップをめくり、角膜実質にレーザーを当てて加工し、屈折を矯正していきます。

(3)フラップを戻し、洗浄を行います。位置や接着を確認して手術が終了となります。

手術後は、感染や炎症を防ぐために、目薬が処方されることが多いようです。

また、定期的な経過観察が必要になるので、医師の指示に従ってきちんと受診する必要があります。

レーシック手術が成功すると、裸眼で物がクリアに見えるようになるわけですから、普段から眼鏡やコンタクトレンズを使っている人にとっては夢のような話に思えるかもしれません。

しかし一方で、リスクがあるのもまた現実です。

では、どんなリスクがあるのでしょうか?

レーシック手術のリスク

レーシック手術のリスクとして、術後合併症があります。

代表的な術後合併症は以下です。

ハロー・グレア

術後、光がまぶしくなり見えづらくなる、あるいは光に輪のようなものが見えるなど、光の感じ方に異常をきたす後遺症。

不正乱視

眼鏡で矯正できない乱視のこと。レーシック手術後に角膜拡張症などを発症した場合に起こる。

ステロイド緑内障

術後に炎症を抑えるために使われたステロイドによって緑内障を発症することがある。

ドライアイ

手術中、角膜の神経の一部が切断されることが原因で発症するといわれている。

また、手術後の視力についても問題となっています。

消費者庁が行った調査(※1)によると、およそ74%の人が「希望した視力になった」と答えている一方で、「希望した視力に届かなかった」という人は13%、「いったん希望した視力になったが、戻ってしまった」という人は5%いることがわかりました。

反対に、「矯正され過ぎてしまった」という人も5%いて、過矯正もまた問題となっています。

過矯正は、手術前の視力の設定が1.2や1.5と高いことが原因といわれていて、眼精疲労や、近くのものが見えにくい近見障害などを起こす可能性があります。

また、1度の手術で適当な視力にならず、再手術が必要となるケースも報告されています。

レーシック手術は安易に受けてはいけない

このような事態を受け、2013年、消費者庁と国民消費生活センターは、レーシック手術に関する注意喚起を発表しました。

その中では、事前にリスクについて充分な説明を受けていないケースもあり、それがトラブルの一因になっていると指摘されています。

このようなトラブルを防ぐためには、レーシック手術にはリスクがあることを知り、自分が本当に手術を必要としているのか、信頼できる医師に相談する必要があります。

病院を選ぶ際も、レーシック手術の良い面ばかり謳っていないか、あるいはリスクに対する説明をきちんと行ってくれるか、慎重に確認しましょう。

必要に応じて、セカンド・オピニオンを行うと、よりいっそう安心できますね。

【参考】※1:消費者庁 独立行政法人国民生活センター『レーシック手術を安易に受けることは避け、リスクの説明を十分受けましょう!

執筆:吉村 佑奈(助産師・保健師・看護師)

医療監修:株式会社とらうべ

 

<執筆者プロフィール>
吉村 佑奈(よしむら・ゆうな)
助産師・保健師・看護師。株式会社 とらうべ 社員。某病院での看護業務を経て、現在は産業保健(働く人の健康管理)を担当

<監修者プロフィール>
株式会社 とらうべ
医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士など専門家により、医療・健康に関連する情報について、信頼性の確認・検証サービスを提供

image by: Shutterstock

 

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記事提供:Mocosuku(もこすく)

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