【書評】都立高や養護学校で「仰げば尊し」が歌われない理由

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脚本家、エッセイスト、作家などさまざまな肩書を持つ内館牧子さん。今回の無料メルマガ『クリエイターへ【日刊デジタルクリエイターズ】』で編集長の柴田忠男さんが紹介されているのは、そんな内館さんのエッセイ集です。歯に衣着せぬ内舘節満載の一冊、その内容とは?

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聞かなかった聞かなかった
内館牧子・著 幻冬舎

内舘牧子『聞かなかった聞かなかった』を読んだ。ずいぶん古い話もある。すべて当時のまま、と後書きにある。たとえば「スピリチュアルな趣味」の占い師の件。占いには興味がないが、ある時ヒマつぶしに何気なく見てもらったところ、あまりの的中に背筋が凍りついたという話である。

「何を見て欲しいの?」「4月に友達と東欧を旅行するんです」「東欧はダメ。やめた方がいい。ダメ」「何でダメなんですか」「どうしてなのか、よくわからないの。私にも。でも東欧はダメ、よくない兆しがでているわ」。理由がわからず困っている占い師。これは恐かった。キャンセル料は私が払うとまで言って、有給休暇を取得済みの同行予定の女友達を、むりやり引き留める。

果たして、東欧への第一歩、ウクライナのキエフに入るはずの4月26日、まさにその日チェルノブイリ原発事故が起こったのだ。31年前のお話だ。お礼を言おうと、何日か後に池袋のサンシャイン劇場に占い師を訪ねたが、占いのコーナー自体がなかった。あの的中とともに、何だか夢を見たような気がしたという。

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