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ついに始まった水道民営化、なぜ日本は海外「水道代5倍」の失敗例を無視するのか?

ついに水道事業を民営化しやすくする改正水道法が成立しました。「貧乏人は水を飲むな」ともなりかねないその問題点と、可決に至った政府の考えを解説します。(『らぽーる・マガジン』)

※本記事は、『らぽーる・マガジン』 2018年12月10日号の一部抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会に今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。

世界は「再公営化」が主流、日本も貧乏人と地方が見捨てられる?

ついに「水道民営化」法案が可決

12月6日、水道事業を民営化しやすくする改正水道法が可決され成立しました。この改正案は今年7月に衆院を通過し、11月に参院で審議入りしていたものです。

当メルマガでは、衆院を通過した今年7月時点にもこの話題を取り上げています。

【関連】あまり報道されない「水道民営化」可決。外国では水道料金が突然5倍に

2018年7月5日、水道事業の運営権を民間に売却できる仕組みを導入することなどが盛り込まれた水道法の改正案の採決が衆院本会議で行われ、自民・公明両党と日本維新の会と希望の党(当時)などの賛成多数で可決されました。審議時間はたったの8時間でした。

2018年6月18日、大阪北部地震が発生し、21万人以上が水道の被害を受けたことでクローズザップされた「水道管の老朽化」問題がきっかけとなり、6月27日に水道法改正が審議入りし、8時間の審議を経て7月5日に衆議院本会議で可決されました。

「水道管の老朽化」と「水道法改正」と、どう関係するのでしょう。

“数の論理”で成立した水道法改正について、私たちの命にかかわる問題ですので、一度取り上げたものですが、再度その内容を検証していきましょう。

水道法改正をめぐる「3つのキーワード」

水道法改正に関して、キーワードを確認しておきましょう。

  • 老朽化
  • 人口減少
  • コンセッション方式

まずは「老朽化」についてです。

深刻な水道「老朽化」

日本の浄水設備の多くは1960年代から70年代の高度経済成長期に建設されたもので、今後も老朽施設の更新需要は年々増加していきます。

現在、耐用年数40年以上を超える水道管は約10万km、これは地球2周半に相当します。更新費用は1kmあたり1億円以上もかかるそうです。

これを早急に対処しなければならないのですが、現状ではかなり困難な状況になっているというのが政府の見解です。

老朽化した水道管の更新のための「資金・人材」が不足しているとのことです。

これまで日本の水道運営は、企業会計原則に基づく地方公営企業法上の財務規定が適用されるため、独立採算で運営されており、原則として、水道料金収入と地方自治体が発行する企業債(地方債の一種)で水道事業の運営・更新費用などが賄われてきました。

基本的には徴収した水道料金で運営や設備の補修などが賄われています。

ここで次のキーワード「人口減少」が出てきます。人口減少により、水道料金収入が減少しているのです。

Next: 人口減少で水道事業維持が困難に?水道法改正に至った経緯は…

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