なぜ日本のサラリーマンの年収はいつまで経っても低いままなのか

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先日、「第2次安倍政権発足とほぼ同時に始まった景気拡大局面が、戦後2番目の長さとなった」と認定した、内閣府の景気動向指数研究会。しかし、「とてもそうとは思えない」という声が多数聞かれます。一体なぜ私たちはこの好景気を実感することができないのでしょうか。元国税調査官で作家の大村大次郎さんが自身のメルマガ『大村大次郎の本音で役に立つ税金情報』で、その理由をわかりやすく解説してくださっています。

※本記事は有料メルマガ『大村大次郎の本音で役に立つ税金情報』2018年12月16日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め初月無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール大村大次郎おおむらおおじろう
大阪府出身。10年間の国税局勤務の後、経理事務所などを経て経営コンサルタント、フリーライターに。主な著書に「あらゆる領収書は経費で落とせる」(中央公論新社)「悪の会計学」(双葉社)がある。

我々はなぜ“いざなぎ超えの好景気”を実感できないのか?

先日、内閣府の景気動向指数研究会が開かれ、2012年12月に始まった今回の景気拡大局面が、少なくとも2017年9月まで、4年10カ月間続いたことが確認されたそうです。これは1965年から4年9カ月続いた「いざなぎ景気を抜いて戦後2番目の長さとのことです。つまりは、日本は高度成長期に匹敵するような好景気の時期にあるということだそうです。

しかし、この好景気を実感している人はどのくらいいるでしょうか?ほとんどの人は、好景気を実感していないのではないでしょうか?

また戦後二番目ということは、一番目があるわけですが、この一番長い好景気の時期って、みなさんご存知ですか?これは、実は、2002年から6年1カ月間続いたいざなみ景気」です。この「いざなみ景気」にも、今回の戦後二番目の景気にも、違和感を抱きませんでしたか?その違和感は、実はあなただけのものではありません。あなただけが、景気の良さを実感していないのではなく、国民のほとんどは実感していないのです。

なぜならば、バブル崩壊から現在まで、サラリーマンの平均収入は20%も下がっているからです。収入が下がっているのに、景気がいいと言われたって、実感がないのは当たり前です。そして、日本で勤労している人のほとんどがサラリーマンですので、国民のほとんどは好景気を実感できていないわけです。

また好景気の長期化のニュースとともに、個人金融資産のニュースにも違和感を持った方が多いのではないでしょうか?日本銀行の統計によると、2017年9月末の時点において、個人金融資産は1,800兆円を超えたそうです。

日本の個人金融資産というのは、バブル期以降激増しているのです。バブル期の1990年の段階では、個人金融資産は1,017兆円でした。が、現在は1,800兆円以上に達しているのです。二十数年の間に、80%も増加しているのです。

個人金融資産が1,800兆円ということは、生まれたばかりの赤ん坊から100歳以上の老人まですべての人が、金融資産を平均で1,400万円以上も持っていることになります。3人家族であれば4,000万円以上、4人家族であれば6,000万円近くの金融資産を持っているということです。しかもこれは不動産などの資産は含まずに、金融資産のみの額です。

でも、ほとんどの人はこう思っているはずです。「うちにはそんなお金はない」と。現在、ほとんどの日本人は、金持ちの生活というより、貧しめの生活をしています。今の日本では平均的な収入のある人でも子供二人を育てるのは大変です。平均以上の収入があるのに、子供を二人育てられない国というのは、実は世界でもあまりないのです。だから子供のいる世帯のほとんどは、金融資産は微々たるものでしょう。また独身の方も、1,000万円以上の金融資産を持っている人は稀です。では、一体、どこの誰が金融資産を激増させているのでしょうか?今回は、それを分析したいと思います。

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