阿曽山大噴火が裁判所で見た「音楽講師の危険な曲作り」

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裁判傍聴芸人として名高い阿曽山大噴火による連載『裁判妙ちきりん』第20回!法廷でしか味わう事のできない裁判のリアルをお届けします!

警視庁新宿署は、9月上旬から中旬にかけて覚せい剤を使用したとして、自称音楽講師の男性を覚せい剤取締法違反(使用)の疑いで逮捕しました。男性は調べに対して容疑を認めています。
男性は9月18日、仕事のために上京。仕事を終え、同日の午後、新宿区歌舞伎町のサウナで覚せい剤を使用したと供述しているそうです。
同じく18日の午後16時ごろ、路上でパトカーを見て立ち去ろうとした男性に対し、警察官が職務質問し、尿検査で覚せい剤の陽性反応が出たため逮捕されました。

所持品から、使用済みの注射器なども見つかったといいます。

男性は過去にテレビ番組にレギュラー出演していた著名人で、メディアでも大きく報道されました。(編集部)

――――――――――――――――

今年も何人かの著名人が逮捕されたけど、昔テレビで見てた人が違法薬物ってのは、番組を見てた人にとってはショックでしょうね。過去の思い出までもが悪い物に思えてくる人もいるだろうし。

罪名 覚せい剤取締法違反

被告人 49才音楽講師の男性

事件は今年の9月18日頃。

新宿区歌舞伎町のサウナ店内で、被告人がフェニルメチルアミノプロパンの入った水溶液を自己の身体に注射して摂取したという内容。

被告人は罪を認めていました。

検察官の冒頭陳述によると、被告人に前科前歴はないものの、2年前から覚せい剤を使っていたらしい。

情状証人はなく、被告人質問。

まずは弁護人から。

…と思ったら、傍聴席からトゥルルルルル~と携帯電話の呼び出し音が鳴り響くハプニング。

法廷の入口に、「マナーモードじゃなく電源をOFFにしろ」って注意書きがしつこいくらいに書いてあるのに。

ルールを守らない人に限って、そういうのを読まないんですよねぇ。

裁判官が「ケータイの電源は切っといて下さい!」と注意して、一番前に座ってた男性が焦りながらケータイを切って、被告人質問スタート。

弁護人

「2年前から使ってたと。きっかけは?」

被告人

「興味本位ってのもありましたけど、ストレスが溜まりすぎて。」

弁護人

「仕事のストレスですよね。職業は音楽講師だと言ってましたが、具体的な中身は?」

被告人

「歌を教える事を主にやっています。曲を作ったりですとか。あと、絵を教えることも仕事になっています。」

実際は、音楽だけじゃなく絵画も教えている多才な人のようですね。

弁護人

「どこで教えてたんですか?」

被告人

「歌は大阪が多く、絵は東京の方が多かったです。」

弁護人

「その仕事、今どうなってますか?」

被告人

「一切。仕事を失いました。」

これだけ大きく報じられたし、影響は大きいようです。

弁護人

「周りの反応はどうですか?」

被告人

「新宿署に匿名でメモを持ってきてくれる人がいたり、生徒達が自宅に手紙を送ってくれたり、ツイッターでは今度は私達が支える番だと応援してくれたり…。」

生徒やファンは被告人を見捨てることなく、応援してくれてるそうな。事件はさておき、それだけ多くの人に必要とされてる凄い人なんでしょうね。

弁護人

「今は保釈されてますが、どこにいるんですか?」

被告人

「私のコンサートなどに来てくれてから親しくなった20年来の知人です。」

弁護人

「その人が保釈金も出してくれたと。今日も法廷に来てくれてるんでしょ?」

被告人

「はい。」

と、被告人が傍聴席の方を振り返ると、会釈をする1人の男性…が、さっきケータイを鳴らしちゃった人なんですよ。なんとも格好つかないというか…。

弁護人

「今後、仕事はどうするんですか?」

被告人

「生徒達は教室の再開を望んでますが、まずは自分の薬物の治療をしてからか、と。」

と、完全に覚せい剤をやめてから歌と絵を教えると約束していました。

次は、検察官から。

検察官

「取り調べで“8月から使用頻度が高くなっていた”と。どれ位でした?」

被告人

「1週間で0.5g、ひと月で2g。」

超多い!

違法な物なので普通と言うと変だけど、普通は1回につき覚せい剤0.03gとかですよ。

それが1週間で0.5gとは! 相当体が慣れてきてたのではないかという印象。

検察官

「使うとき、生徒の顔よぎらなかった?」

被告人

「それはありましたけど、期限までに曲を作らなきゃいけない焦りもあって…。」

覚せい剤を使うことで、眠くならないから睡眠時間を削って曲を作っていたという話ですかね。

最後は裁判官から。

裁判官

「8月ですけど、自分から使いたいと思ったんですか?」

依存度をチェックしたいようです。

被告人

「はい。時間を使いたいと思ってました。」

これは話が噛み合ってるのかどうなのか。結果的に質疑応答はできてるけども。

裁判官

「もう覚せい剤は使わないという思いを聞かせてください。」

被告人

「マスコミに大きく取り上げられたのが1つのポイントです。あと、捕まってる間にいろんな話を聞きまして…覚せい剤のお金が暴力団に繋がってるとか。なので、二度と手を出さないと誓います!」

覚せい剤の資金が反社会的な人達の資金になってることを、逮捕されてから知ったのか…。

歌と絵は教える立場なのに、そんな基本的なことは教えられる立場とはね…。

この後、検察官が懲役1年6月を求刑して閉廷でした。

──もしこの裁判がフィクションだったとして。

私は被告人の言葉に対して───

曲を依頼した人なら、原因はこっちにあるのかよって思うだろうなぁ。

ま、11/29に実際に行われた裁判なのだが

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