1月2日に「台湾統一」に関して初の演説を行ない、中台統一への意気込みを示した習近平国家主席。近年、台湾への関与を強めているトランプ大統領牽制の狙いがあると考えられますが、「武力使用は放棄しない」とする今回の方針は、今後の台湾や周辺諸国にどのような影響を及ぼすのでしょうか。国際関係アナリストの北野幸伯さんが自身の無料メルマガ『ロシア政治経済ジャーナル』で、詳しく解説しています。
習近平、台湾統一の強い決意を示す
習近平は年始、台湾政策に関する演説を行いました。何を語ったのでしょうか?
習近平氏が初の台湾政策演説 5項目公表 「武力使用放棄せず」
毎日新聞 1/2(水)21:29配信
【北京・河津啓介、台北・福岡静哉】中国の習近平国家主席(共産党総書記)は2日、中国が台湾に平和統一を呼びかけた「台湾同胞に告げる書」発表から40年に合わせ、5項目の台湾政策に関する重要演説をした。台湾側に経済協力の「アメ」を示しつつ、統一に向けて「武力使用は放棄しない」と明言。米国を念頭に「外部勢力による干渉」をけん制した。
具体的にどんな政策なのでしょうか?
政策の柱は
- 平和統一の実現
- 「1国2制度」の適用
- 「一つの中国」堅持
- 中台経済の融合
- 同胞・統一意識の増進
──の5項目。習氏は演説で「台湾問題は、民族の復興によって必ず終結する」と表明。習氏は建国100周年にあたる49年までに「中華民族の偉大な復興」を実現する国家戦略を掲げており、統一への強い決意を示した形だ。
5項目、意訳してみましょう。
1.平和統一の実現
=プロパガンダや買収によって、なるべく戦闘なしで併合する。
2.「1国2制度」の適用
=香港の時のように、「中華人民共和国の一部になっても何も変わりませんよ!」ということにして、併合する。
3.「一つの中国」堅持
=中華民国(台湾)は存在せず、世界には中華人民共和国があるだけであ~る。
4.中台経済の融合
=中国が台湾経済を飲み込むことで、吸収してしまう。
5.同胞・統一意識の増進
=プロパガンダと洗脳で、台湾人を中国人にしてしまおう。
こんな感じでしょうか。
一方で、習氏は台湾独立の動きに強い警告を発した。「中国人は中国人を攻撃しない」と述べつつ「あらゆる必要な措置を取る選択肢を保有する」とし、独立や外国勢力の介入に武力行使を辞さない考えを強調した。
(同上)
「あらゆる必要な措置を取る選択肢を保有する」というのは、要するに「平和理に併合したいが、必要があれば武力行使もする」ということですね。いつ武力行使をするかというと、
- 台湾が独立を宣言したとき
- アメリカが介入したとき
トランプ米大統領は台湾問題への関与を強めており、昨年末には台湾への武器売却や高官訪問などを促進する法律に署名し、成立させたばかり。中国外務省の陸慷(りくこう)報道局長は2日の定例記者会見で、米側に抗議したと明かしたうえで、習氏の演説を引用し「外部からのいかなる干渉も容認しない」と述べた。
(同上)
トランプさんが大統領になる前、アメリカは、及び腰でした。しかし、彼が大統領になって関与を強めています。問題の多い大統領ですが、こういうところは立派です。