現役アナウンサーが教える、話しながら頭の中を整理する会話術

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人前で話すあらゆるシーンに役立つプロの技を伝えてくれるメルマガ『話し方を磨く刺激的なひと言』の著者で、現役アナウンサーの熊谷章洋さん。今回は、「結論から言う」などのよくある「話し方のコツ」は、実践が難しい場合が多いと指摘。要素を列挙して、話しながら頭の中を整理する技術について具体的に解説しています。

話を考える過程をも話して聞かせてしまう、話し方の技術

思わぬ質問をされたとき、考えたことのなかった、これまで話したことのなかったテーマで話してくれと言われたときは、誰しも戸惑うものです。何を、どういう順番で話して、結論はどうすべきか?頭の中で、いろいろなプランが生まれては消えていきます。

そんな自分の姿が、迷っている、困っている、焦っている、狼狽しているように見られているかも?と、心理的にも圧迫され、すぐに何か話さなければ!と、とりあえず見切り発車で話し始めて、話せるところから順番に話していき、結局、何が言いたかったのかわからない話を、長々としてしまう…。思い当たることはありませんか?

いっぽうこれが、「自分の仕事について、あなたが大事だと思うポイントを話してください」。というような質問だったとしたら、どうでしょう?「ポイントは3つあります」とか、「自分の仕事におけるテーマを究極的にまとめると、ただ1点に絞ることができます、それは…」などの話し始め方ができるかもしれません。

日ごろから何らかの哲学を持って仕事をなさっていて、自分の仕事の要諦をきちんとまとめて認識していて、なおかつそれを、同僚などと話し合う機会があり、頭の中にある曖昧で散漫な情報を、自分で、明確な話し言葉に変換した経験があるのであれば、そんな話をするのはお手の物だと思います。

このような、得意なテーマが話しやすい原因を、いま取り組んでいる「横着ファイリング話法」で表現すると、話の枠=空フォルダーの範囲が、話す前から明確に絞れているからです。

考えたことがある、結論を導いたことがある、話し言葉に変換したことがある、こういう経験による成果です。自分の「話の引き出し」の中に、比較的すぐに話せる状態で保存されているんですね。

今回は、そういう場合ではなく、ぼんやりとわかってはいるものの、意識してまとめたことはなかった…ぐらいの、すぐに話せるレベルでないところに質問を喰らった、そういう状況を想定して考えてみましょう。

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