なぜ学校はいじめ放置教員への懲戒処分の法制化に反対するのか

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「いじめ防止対策推進法」の改正案から削除された「いじめを放置、隠蔽、助長するなどした教員を懲戒処分」という条項。改正案の中でこの条項を重要視していた無料メルマガ『いじめから子どもを守ろう!ネットワーク』では、大人が子供を守る自覚を持つべきであるとの批判を展開。同メルマガではさらに、文部科学省で開かれた「いじめ防止対策協議会」の内容を詳細に記し、SNSを利用したいじめ相談の動きについても紹介しています。

SNS相談窓口広がる

残念なニュースが流れました。新聞等によれば、今国会での成立を目指している「いじめ防止対策推進法」の改正案から、「いじめを放置隠蔽助長するなどした教員を懲戒処分とする条項が削除されたことが、10日に判明したようです。

いじめから子供を守ろう ネットワークは発足した2007年から、いじめを隠蔽、黙認、放置、加担、助長等する教師への懲戒規定を法制化するように訴えておりますが、今回も教育界などからの「現場の萎縮を招くとの反発の声に屈してしまったようです。心ある議員の先生方には、最終的に改正案が決まるまでに、なんとか巻き返してほしいものです。

さて、3月25日(月)、文部科学省で「いじめ防止対策協議会」が開かれ、傍聴してまいりました。今回の議題は大きく二つ、第三者委員会の調査内容を文科省が把握することとSNSによるいじめ相談体制の進捗状況でした。

第三者委員会は、いじめによって、学校の児童生徒の生命、心身、財産に重大な被害が生じたり、長期の不登校になっている、重大事態と認められるいじめ事件が発生した際に設置され、事実関係を調査して、いじめの態様やいじめに至った経緯、さらには学校のいじめへの対応など明らかにし、調査報告書にまとめます。

総務省がかつて全国の66事案67の第三者委員会の報告書を分析したところ、学校がいじめの定義を狭く解釈していじめと認めない事案等の、いじめ防止対策推進法を守らないケースが多数あったことから、昨年3月、文科省は総務省から、勧告を受けました。

この日の会議では、「全国の全ての調査報告書を集めて分析するべきだ」という意見もありました。ただ、現況では文科省への提出義務はないので、各地の教育委員会に報告書の提出をお願いするしかないと、座長から説明がなされました。

法的義務はなくても、文科省からの要請であれば、教育委員会は報告書の提出を断ることはないでしょうし、文科省として積極的に関わっていこうとする姿勢がなかったために勧告を受けることにもなったのだろうと思います。

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