葬儀司会者として、故人を偲ぶナレーション原稿を日々執筆している瑠璃さんが、メルマガ『瑠璃の葬送日記&葬儀ナレーション例文』の中で展開している「似ているんけど、微妙に違う言葉」を紹介するコーナー。今回は、年齢や時間、金額やスピードなどの数字に付く「代」と「台」の漢字の使い分け方と、実は微妙なニュアンスの違いがあった「70歳台」と「70代」の意味について教えてくれます。
ことばのちがい:「代」と「台」
ゴルフやボウリングなどの実力を相手に尋ねた時、「だいたい○○くらい」といった返答があるかと思います。その返答を簡単に表現できる言葉が「○○だい」。でもこの「○○だい」って、発言する時は何も問題はないのですが、書き表すとなると「台」と「代」どっち?となりませんか?
結論を言いますと、「代」を使うべき項目は年齢と年代。「台」を使うべき項目は、「代」で使うべき項目以外のすべてです。ただし、例外的に年齢については「代」も「台」も使用する場合があります。
まずは「代」を用いる場合。年齢を10歳ごとに区切る意味で使います。40代→40歳~49歳、50代→50歳~59歳といった具合です。
そして、もう一つが年代ですが、こちらも10年区切りで使うことが多いです。1990年代→1990年~1999年、2010年代→2010年~2019年ですよね。ただし、「2000年代」という場合には「2000年~2009年」の他に「2000年~2999年」といった解釈もできます。使い方には注意が必要です。
それから、範囲を表す意味ではない例として、家督などにも「代」を使います。「薩摩藩 第11代藩主」「江戸幕府 第8代将軍」や「巨人軍 第63代4番バッター」などですね。こちらの「代」は、範囲ではなく何番目という意味です。
一方、「台」のほうです。「台」を使うべき対象は「代」を使うもの以外となります。たとえばこんな感じに…。
- 「金額」:1900円台→1900円~1999円
- 「時間」:9時台→9時~9時59分
- 「スピード」:80キロ台→80キロ~89キロ
- 「血圧」:120台→120~129
冒頭で、例外的に年齢については「代」も「台」も使用する場合があると申しました。年齢で「台」を用いる場合には「40歳台」というように、数値と台の間に「歳」が入ります。
広辞苑で「台」は「それぞれを単位に区切れる範囲」という説明があります。また、文化庁発行の「言葉に関する問答集(総集編)」では、「大台に乗る」といった説明があります。
つまり、「台」は「*歳の大台に乗り、次の大台までの範囲」といった意味になります。そして同じく広辞苑で「代」は「大体の範囲」といった説明がされています。つまりこれは「大体*歳~*歳」という意味。
要するに「70歳台」と「70代」では、ニュアンスが微妙に違うのです。「70歳台」は「70歳の大台に乗り、次の大台までの範囲」という意味で、一方の「70代」は、「大体70歳~79歳」という、ちょっとぼかした意味になります。
どちらも示している数値は同じなのですが、微妙に意味合いが違うということを、頭の片隅に置いておきましょう。
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