不倫、浮気…人はなぜ「禁断の恋」だと夢中になってしまうのか?

2016.06.13
by gyouza(まぐまぐ編集部)
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禁断の恋愛の方が盛り上がる、というのは本当でしょうか?

恋愛禁止といわれるアイドル界や不倫など「ダメ」といわれている場所での恋愛は尽きません。
いったい禁断の恋愛に走ってしまうのはなぜなのでしょうか?神奈川大学人間科学部の杉山教授にお伺いしました。

背徳系の恋愛には需要がある

ちょっと古いニュースですが、アメリカから「アシュレイマディソン」なるSNSが日本に上陸して話題になりました。

話題の最大のポイントはそのキャッチコピー、『人生一度。不倫をしよう。』でした。

人生はたしかに一度です。一度きりの人生ですから誰も後悔はしたくない。

このキャッチコピーは暗黙のうちに「不倫を経験しないと人生後悔するぞ!」と誘導しているのです。

不倫は神話の時代からの時代からの人類のテーマです。不倫を扱ったドラマも映画もいつの時代も話題をさらいます。そして驚くべきことに、この背徳系SNSはビジネス的に大成功しているのです。

どうやら、不倫に興味を持つ人は私たちが思うより多いのかもしれません。

これはいったいどういうことなのでしょうか。

倫理も徳も人が築いたもの…。人は自分たちが築き上げたものを壊して喜ぶ本能でもあるのでしょうか。

禁断の恋愛は燃え上がる?

結論から述べると不倫など望ましくない恋愛に惹かれる心理では、社会の秩序やルールを壊そうとは思っていないことが多いです。

禁断の恋愛が燃え上がる現象は「ロミオとジュリエット効果」と呼ばれています。
ロミオとジュリエットのお話(ウェストサイドストーリー)では、二人はそれぞれの家族や仲間を大事にしていましたが、同時にその横暴さに不満も抱えていました。つまり、家族への不満を持て余していたのです。

これは、家族を社会に置き換えると、現代社会を生きる私たちにちょっと似ていませんか?

生きている社会のルールやマナーに添わないものは、有無を言わさず「ダメだ」と制限されている。制限への反発(心理的リアクタンス)は、制限の外に身を置くことを求めます。つまり、禁断の何かを求めてしまうのです。

「期待されている自分」とのギャップがあるほど甘美

これは制限(社会)に縛り上げられた閉塞感への密かな抵抗です。そして禁断の何かが動物的欲求(快楽)と結びつくと甘美な何かにすり替わるのです。

安全欲求と結びつけば「自分だけのお城」を作る方向に、食欲と結びつけば「酒池肉林」の世界に、そして愛欲と結びつけば「禁断の恋」に…。

制限の枠を飛び出した解放感の心地よさは閉塞感が強ければ強いほど、そして飛び出し方が大きいほど甘いものになります。

禁断の恋愛だけじゃない!? 禁断の喜びはほかにもある

このように、禁じられた恋愛は人生を甘美に彩る大輪の花です。花がなければ寂しいもの…。ですが、望ましくない行いですので、周知のことになったらその代償は計り知れないものがあります。

何人の芸能人がこのタイプのスキャンダルで消えていったことでしょう。必ずしもおススメできるものではありません。

禁断の喜びは必ずしも恋愛でなくてもよいのです。

たとえば、成人後にランニングにはまるのは、学生時代にスポーツが苦手だった方が多いようです。スポーツという彼らなりの禁断に挑戦しているわけです。

禁断の恋愛 :「恋愛」以外のものに打ち込もう

禁断の恋にはまりそうとちょっと怖がっているあなた、あなたにとっての禁断は何ですか?諦めていた夢は恋愛以外にはありませんか?

花はいつか枯れるもの。別の禁断も恋愛と同じようにあなたを甘美な世界に誘ってくれますし、ものによっては枯れない花もあります。

禁断の甘美な世界はあなたの人生を鮮やかに彩りますが、どの禁断にそれを求めるかはあなた次第なのです。

執筆: 杉山 崇(神奈川大学人間科学部/大学院人間科学研究科教授)

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<執筆者プロフィール>
杉山 崇(すぎやま たかし)
神奈川大学人間科学部/大学院人間科学研究科教授。心理相談センター所長、教育支援センター副所長。臨床心理士、一級キャリアコンサルティング技能士、公益社団法人日本心理学会代議員。公式サイトはこちら

 

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