「教師の使命」とは何だ。そこにある、先生にしかできない仕事

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2019年7月に起きた、岐阜市の中学3年生の男子生徒がいじめにより自殺した事件。いじめを見かねた女生徒が手紙で実態を担任に報告するも救済されず、最悪の結果となってしまいました。今回の無料メルマガ『いじめから子どもを守ろう!ネットワーク』では、様々な問題を内包する今回の事件から、「周囲の大人が生徒の心にどう寄り添えばいいのか」を主題とし具体的対応策を記しています。

「心に寄り添う」─子どもを自殺させないために大切なこと─

子どもが自殺する、あるいは、子どもが同級生を刺す。なんと衝撃的な事件だろう。ありえない。保護者、地域、教育関係者、そして子供たちはさぞかしショックなことでしょう。

先の7月、岐阜市の市立中3年の男子生徒(14)が3日朝に自宅近くのマンションから転落死した。市教育委員会は5日、記者会見を開き、生徒が学校でいじめを受けていた事実を認めた。生徒の自宅からは、いじめを苦にした自殺を示唆する内容のメモが見つかった。5月末には同級の女子生徒が手紙で、男子生徒へのいじめを担任に知らせていた。

 

記者会見した早川三根夫教育長は「いじめを受けながら『大丈夫です』と答えていた男子生徒の悲しみにも、勇気を奮って手紙を書いた女子生徒の気持ちにも、学校は寄り添えていなかった」と謝罪した。

 

事件から1か月後の8月3日、早川教育長は、岐阜新聞のインタビューを受けてこう語った。

 

「しっかり対応すれば防げたチャンスが何度もあったにもかかわらず、見逃してしまった。学校の対応が不十分だったと言わざるを得ない」

 

「先生たちが子どもの心に寄り添えていなかったのが問題。子どもの悲しみや苦しみを表面的に捉えてしまった。また、市内中学校では、いじめの問題に校長や教頭が十分に関わっていない現状がある。いじめは担任でなく校長マターだ。校長は問題の重要性を認識し、指導力を発揮しないといけない。今回の件では、学級担任が(亡くなった男子生徒の)親に連絡しなかったことも大きなミス。連絡があれば家庭でも話ができたし、事態が変わっていた可能性もある」

 

「さらに、問題の初期対応の誤りと組織的な責任は免れない。学校や担任や市教委が、問題をどうして防げなかったのかを解明しないといけない。(男子生徒が通っていた)学校には、いじめに対応するしっかりとしたガイドラインがあったが、機能していなかったことも問題だ」

(岐阜新聞、同WEBほか)

教育長は、リーダーシップを発揮され、事件後早急にアンケートを実施、第三者委員会の情報公開を約束し、すでに知り得た情報からいち早く誤りを認めかつ現場にも配慮を加えた発言をされていると思います。全国の中でも良識ある対応をされた市だと思います。ちなみに今回は文科省も素早い対応を示しました。事件後の7月8日、文科省は担当者2名を派遣し、教育長らから聞き取りをし、事案の真相を解明し、今後に生かすようにと指導しています。

まず、なぜ、いじめは担任でなく校長マターなのでしょうか。いじめを解決するにあたって、どうしても加害者側、被害者側双方に感情的なしこりは残ります。担任は加害者、被害者双方の先生なのです。人情がからみやすいので、厳しい対応が難しい場合もあります。これを超越して理性的、合理的に解決していくためには、管理職校長によるコンプライアンス重視のゼロトレランス対応が必要です。また、いじめ解決では初期対応が重要なことは、当法人のHPでも繰り返し解説をしてきたところです。

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