税理士が警告、手元資金が枯渇する「失敗節税あるある」にご注意

shutterstock_225181663
 

常日頃から「節税」に腐心されている経営者の方、多いのではないでしょうか。社員一丸で仕事に精を出した結果の愛しい利益ですから、納める税金はなるべく少なめにしたい、と考えるのも人情ですよね。今回の無料メルマガ『税金を払う人・もらう人』では著者で税理士の今村仁さんが、決算間際の節税対策に多い「利益繰り延べ対策」で起こりがちな「失敗節税あるある」を紹介しています。

失敗節税あるある! 

例えば今まで、利益といえば多くて数百万円だった会社が、同業の倒産や思わぬ受注により、数千万円に利益が急増したとします

顧問税理士から決算間際に税金ウン百万円といわれると、多くの経営者は節税に走ります(ほんの一部の経営者の方は脱税に走りますが、それはまた別の機会にお話しします)。

悪いことではないのですが、決算間際ということもあり、出来る対策は限られ、よくあるのは、利益を先延ばしする利益繰り延べ対策」です。利益繰り延べ対策の一例としては、「家賃などの年払い」や「保険や共済制度の加入」です。

これら利益繰り延べ対策のほとんどは、節税するために「先に資金が必要」となります。具体例をあげてみます。

税引前利益2,000万円の会社が、「家賃の年払いや倒産防止共済制度の加入等で、1,200万円の支払い」をしたとします。すると、

  • 法人税等=(2,000万円-1,200万円)×30%=240万円

となります。

  • 節税対策を実行しない時の法人税等=2,000万円×30%=600万円

ですから、その差額=600万円-240万円=360万円が節税効果となります。

一方、節税対策実施前の手元資金が1,500万円という前提で、節税対策を実行した場合としなかった場合の手元資金の動きを比較してみます。

  • 節税対策を実行した場合
    手元資金1,500万円-節税対策資金1,200万円-法人税等240万円=60万円
  • 節税対策を実行しなかった場合
    手元資金1,500万円-法人税等600万円=900万円

節税対策を実行しなかった場合の方が、手元資金が900万円‐60万円=840万円多くなります。つまり、節税対策を実行すると、「手元資金が枯渇することが多い)」というのが、節税あるある、ということになります。

※ちなみにこの場合、来年以後の家賃負担を先払いしていることの経済的価値や、隠れ資産としての倒産防止共済の解約返戻金等が、別途、中長期的には存在しています。

image by: Shutterstock.com

マネーコンシェルジュ税理士法人この著者の記事一覧

「税金を払う人」と「税金をもらう人」を具体的に紹介していきます。どうすれば「税金をもらう人」になれるのかもお伝えします。このメルマガを読むことによって、早くあなたも「税金をもらう人」になってください。

無料メルマガ好評配信中

この記事が気に入ったら登録!しよう 『 税金を払う人・もらう人 』

【著者】 マネーコンシェルジュ税理士法人 【発行周期】 週刊

print
いま読まれてます

  • 税理士が警告、手元資金が枯渇する「失敗節税あるある」にご注意
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け