ステージが再現、CDの音も変わるスピーカーの「特異な」売られ方

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自社製品の価値に絶対の自信があったとしても、それがターゲットに伝わらなければ売上は期待できません。では、どのような手法が有効となってくるのでしょうか。今回の無料メルマガ『MBAが教える企業分析』では著者でMBAホルダーの青山烈士さんが、多くの「一流の場」で採用されているスピーカーを扱うメーカーの戦略・戦術について詳細に分析しています。

利用シーンに合わせて複数の体験する場を用意する

今号は、非常にユニークなスピーカーを分析します。

エムズシステム

戦略ショートストーリー

スピーカーの音にこだわりのある方をターゲットに「特有の技術」に支えられた「生演奏のような臨場感あるステレオサウンドが楽しめる」等の強みで差別化しています。

試聴会や体験会など体験を重視したプロモーションをとおして、実際に波動スピーカーの価値を体感した顧客から高い評価を得ています。

■分析のポイント

エムズシステムのスピーカーは既存のスピーカーとは全く異なる印象です。

そういった画期的な製品の価値は、文字や言葉では伝えにくいですし、音で差別化している製品ですから、映像でも伝えるのは容易ではありません。

当然ですが、消費者は、何らかの価値を感じなければ購入しようとは思わないでしょう。価値が伝わらなければ売れないということですね。

これは逆に言えば、他社にない魅力的な価値を持っている場合、価値を伝えることができれば、売れる可能性が高まるということです。

そこで重要となるのがどのように価値を伝えるかということです。価値を伝えるうえでポイントとなるのが、顧客ターゲットに価値を体験してもらうことです。

スーパーの食品売り場では新商品の魅力を伝えるのには、試食が有効ですし、新規出店したお店の魅力を伝えるには、サービス業の場合、無料体験などは有効な打ち手と言えるでしょう。

「エムズシステム」の場合、顧客ターゲットに価値を伝えるための取り組みとして「視聴会体験会」など、価値を体感してもらう場を様々な利用シーンに合わせて用意しています。恐らく、自社の提供価値に関心を持ってくれる顧客ターゲットに価値が伝わる場を提供すれば、製品が売れるという自信のようなものがあるのでしょう。

そして、体験してもらうには、体験したいと思ってもらうことがカギになります。その部分での「エムズシステム」の打ち手は導入実績や顧客の声の紹介があります。

音にこだわる方であれば、リッツカールトン東京スイートルーム全室で採用されていると聞けば、そのスピーカーの音には関心を持つでしょうし、その他、多数の実績を目にすれば、興味を持つ方は多くいると想定されます。

それらの打ち手の結果として体感してみたいと思われる方が多くいるということを「演奏家のいない演奏会」が400回以上も行われている実績が示しています。「エムズシステム」は体験したいと思わせる工夫と価値が伝わるための体験の場の工夫をうまく組み合わせているということです。

もちろん、多くの企業が他社との違いを伝えるべく、様々な努力をしているわけですが、消費者に体験したいと思わせること、様々な体験の場を用意することの重要性を改めて感じさせてくれた好事例だと思います。

今後、エムズシステムがどのような存在になっていくのか注目していきたいです。

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