米中覇権戦争のさなか、イランに過去最大制裁はアメリカの誤算

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9月20日、米国がサウジ石油施設攻撃事件の犯人と断定するイランへ「過去最高レベル」の制裁を新たに課すと宣言しました。これを受け、無料メルマガ『ロシア政治経済ジャーナル』の著者で国際関係ジャーナリストの北野幸伯さんは、度重なる経済制裁で、すでに核で威嚇するしか策がなくなりつつあるイランの窮状を記すとともに、およそ戦略的とは言えないアメリカの動きについて批判しています。

アメリカ、サウジ攻撃へのリアクションは?

サウジ攻撃イラン問題で変化があったのでお伝えします。

まず復習から。9月14日サウジアラビアの石油施設が何者かによって攻撃されました。無人機によるものだったと報じられています。それで、サウジの原油生産が、一気に半減した。イエメンの武装勢力フーシ派が、犯行声明を出しました。これに対しアメリカは、「イランの仕業だ!」と宣言。イランが普段フーシ派を支援しているのは、間違いない事実です。しかし、今回の攻撃については明確に関与を否定している。アメリカは、どう動くのでしょうか?

アメリカは、イラン制裁を強化

トランプ氏、「過去最高」のイラン制裁発表 軍事行動は否

9/21(土)」4:01配信

 

【AFP=時事】ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領は20日、イランに対して「過去最高の制裁」を科したと発表した。一方で、自制は強さの証しだとして、軍事攻撃の予定はないとした。先週末にサウジアラビアで起き、世界の原油価格の急騰を引き起こした石油施設攻撃について、米当局はサウジと対立するイランが実行したと主張している。

二つポイントがあります。一つ、アメリカはイランに過去最高の制裁」を科す。もう一つは、「軍事攻撃の予定はない」。これ、どうなんでしょうか?どう考えても、「イラン戦争開始よりマシでしょう。

米国は既に、イランが進めているとされる核開発計画をめぐり同国に対して広範な制裁を科しており、対象には中央銀行も含まれている。だが財務省は発表で、「テロリズム」を追加理由とした制裁を科すと説明。米国がテロ組織に指定しているイラン革命防衛隊(IRGC)とレバノンのイスラム教シーア派(Shiite)政党・武装組織ヒズボラ(Hezbollah)に対し、イラン中央銀行が「数十億ドル(数千億円)」の資金を提供してきたと指摘した。
(同上)

現状すでに、イランはアメリカの制裁で原油輸出量が半減している。今回の制裁で、金銭的にさらに厳しくなりそうです。

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