「新元号」や「消費税率引上問題」がビッグイベントとして連日報道されている2019年度の我が国日本。早くも印刷用紙が特需を控え不足するという事態まで予測されています。今回の無料メルマガ『税金を払う人・もらう人』では著者で税理士の今村仁さんが、税理士ならではの冷静な着眼点で、重視すべき中小企業の相続や働き方改革の中身、マイナンバーなどについて詳しく解説しています。
中小企業こそ知っておくべき「今年の改正・今年の出来事」
今年は、税制改正以外にも、新元号やG20大阪、参院選、相続民法、働き方改革、マイナンバーと目白押しに新設・改正項目が続きます。
事業承継0円、消費税増税
昨年からスタートしたのが、「法人版事業承継税制」。
事業承継計画を出して要件を満たすと、父から子供への「自社株」に対する贈与税や相続税が0円となります。つまり、無税で中小企業の株式を子供へ渡すことが出来る制度が、昨年からスタートしています。
これに対して、「個人版事業承継税制」が2019年4月1日から始まります。この制度で要件を満たすと、個人事業主である父所有の機械装置や器具備品といった事業用資産を、子供へ無税で贈与・相続が可能となります。
一方、2019年10月1日からは、消費税率が8%から10%へ引き上げられます。また同時に、食料品と新聞については消費税軽減税率8%もスタートします。会議費等で弁当や缶ジュース(軽減税率)を買わない会社はないでしょうから、そういった意味では、飲食にたずさわらない他の業界の方も、今年の10月からは10%と軽減8%の複数税率の処理をしないといけません。
新元号、参院選
2019年3月24日の日経新聞によると、「印刷用紙、特需控え不足」となっています。理由は、「新元号、選挙、10連休」となっています。中小企業にとっては、早め早めの準備をお願いします。
働き方改革
2019年4月から順次変わる「労働法制」の主な項目は、下記の7つです。
- 残業時間の上限を規制します
- 「勤務間インターバル」制度の導入を促します
- 1人1年あたり5日間の年次有給休暇の取得を、企業に義務づけます
- 月60時間を超える残業は、割増賃金率を引上げます(25%→50%)
→中小企業で働く人にも適用(大企業は平成22年度~) - 労働時間の状況を客観的に把握するよう、企業に義務づけます
→働く人の健康管理を徹底
→管理職、裁量労働制適用者も対象 - 「フレックスタイム制」により働きやすくするため、制度を拡充します
→労働時間の調整が可能な期間(清算期間)を延長(1か月→3か月)
→子育て・介護しながらでも、より働きやすく - 専門的な職業の方の自律的で創造的な働き方である
「高度プロフェッショナル制度」を新設し、選択できるようにします
→前提として、働く人の健康を守る措置を義務化(罰則つき)
→対象を限定(一定の年収以上で特定の高度専門職のみが対象)