葬儀司会者として、故人を偲ぶナレーション原稿を日々執筆している瑠璃さんが、メルマガ『瑠璃の葬送日記&葬儀ナレーション例文』の中で展開している「似ているんけど、微妙に違う言葉」を紹介するコーナー。今回は、故人を偲ぶための原稿ではよく使われる、「創業」と「設立」の意味と違いをわかりやすく解説。微妙ではなく「明確」な違いがあるため、しっかりと使い分けを意識すべき言葉だということがわかります。
ことばのちがい:「創業」と「設立」
日常生活やお手紙、司会業で、ひょっとしたら遭遇するかもしれない、特に我々の場合、ナレーション作成の際に遭遇しそうな「意味や字画、響きが似ているんだけど、微妙に違う」そんな言葉をご紹介するコーナーです。今回は「創業」と「設立」。
会社概要などでよく見かける「創業」と「設立」。この2つの言葉には明確な違いがあるのをご存じでしょうか。
「創業」は、事業を始めること。「設立」は会社や組織を立ち上げること。という意味になります。「創業日」と「設立日」が違う場合は、その事業を始めた日や店を開いた日が「創業日」で、事業が拡大し、会社を作って登記した日が「設立日」です。
「創業」は商売に関連する場合に限定して使われる傾向もあります。NPOといった営利目的でない事業を始めても「創業」とはなりません。一方「設立」はその事業の内容に関係なく、会社や組織に関係する場合にのみ使われます。
設立は、会社法に基づき株式を発行し、定款を作成して公証人の認証を受け、商業登記を行った上で会社組織を立ち上げることを意味します。つまり事業を開始したときなのか、それとも組織を新たに立ち上げたときなのか、という使い分けです。
会社の創業者だった故人様や、個人事業主、自営業だった故人様、NPO法人を立ち上げた故人様のご紹介で「ご自身**歳の頃、**商店をご創業」「平成**年、株式会社**を設立」という、よくあるご紹介で恥をかくことのないよう、創業や設立という言葉の使い方を正しく理解し、適切に使い分けましょう。
我々の無知や誤解は、我々だけが恥をかくならまだしも、葬儀社様や喪主様に恥をかかせることにもなるのですから。
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