アメリカンフットボールにおける各ディフェンスのポジションは、明確に「ここからここまで」と決まっているわけではありません。敵・味方の動きによって、臨機応変に判断しなければなりませんが、これは仕事にも同じことが言えます。今回の無料メルマガ『「二十代で身につけたい!」教育観と仕事術』では著者で現役教師の松尾英明さんが、仕事のスタンスとして、なぜ周囲をより広く見渡すべきなのかを説いています。
落ち葉はまわりから飛んでくる
子どもからの気付き。外のたたきを掃いていた子どもが言った。
「先生、掃いても掃いてもまわりから葉っぱが飛んでくる」
本人は、一生懸命分担場所をやっている。しかし、きれいになったと思ってたら、また風で飛んでくる。一向に終わらないのである。素晴らしい気付きだね、と褒めた(本人は意識していないだろうが)。
「つまり、自分のところだけじゃなくて、まわりもきれいにしないと、結局自分のところが散らかるってことだね」
これは、仕事のポイントでもある。自分のところを完璧にやる。これは正しい。必要である。
一方で、自分のまわりに色々と仕事や悩みを抱えている人がいる。ここを放置しておくと、結局自分のところにプラスの仕事となって舞い込んでくる。何度でも何度でも、終わりなく入ってくる。
つまりは、自分の仕事への影響範囲は、自分の周辺も入るということである。
これだけ書くと「他人の手助けをしよう」という話に聞こえるが、そうではない。自分のやるべき範囲というのが、実は案外広いということ。そして、自分の及ばない範囲からの影響というのが存在するということである(今回の子どもの例だと、グラウンドの大量の落ち葉は、掃除場所としては完全に範囲外である)。だから、せめて手の届く範囲はきれいにする。
廊下掃除に例える。自分の教室の廊下から、隣の教室の廊下の境目を少し越えて掃除をするということ。あくまで少しである。入りすぎると、余計なお世話になりかねない。「境目」に埃がたまって汚れることがないようにする程度である。
自分の周りというのは、同僚に限らない。家族しかり。保護者しかり。地域しかり。そこの抱えている問題は、自分の問題の一部でもある。関係ないふりしていても、飛んでくるからである。
自分の仕事の範囲ということを見つめ直す良い機会を子どもからもらえた。
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