動機は「善」か。「私心」はないか。人を動かす稲盛和夫の哲学

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著名な経営者であると同時に、経営学の師としても広く知られる稲盛和夫氏。多くの人間に影響を与え続ける彼の「稲盛哲学」とはどのようなものなのでしょう。今回の無料メルマガ『致知出版社の「人間力メルマガ」』では、その生き様から直接伝わる経営の哲学が、フェリシモの矢崎勝彦社長とファミリーイナダの稲田二千武社長の対談を通じ紹介されています。

「神からのささやき」が聞ける方法とは─稲盛哲学の神髄─

京セラ名誉会長・稲盛和夫氏を囲む勉強会「盛和塾」の立ち上げに携わり、氏の教えを経営、人生に生かしてきたフェリシモ社長の矢崎勝彦さんファミリーイナダ社長の稲田二千武さん。

稲盛氏の教えの神髄を引き継ぐお2人に、そこから培った経営人生信条を語り合っていただきました


稲田 「私が稲盛哲学から学んだ人生信條を整理したいと思います。

まず塾長から1番初めに学んだ『動機善なりや私心なかりしか』ですが、私はもともとやんちゃで正義感が強く、商売でもどんな戦いでも、後ろから突いてはならない正面から戦うという信條を持っていましたが、どんな小さなことであっても『動機善なりや』と自分に問うということ。

例えば社員1人を動かすにしても、『動機善なりや』と思うとなかなか難しいことなんです。利己的な本能は無意識のうちに働くのでそれを理性でコントロールするというのは半端な気持ちではできない。『動機善なりや、私心なかりしか』というのは、そういう御しがたい自分を制御するために自分の中で反芻しなければなりません。

それから、『考え方』というのが稲盛哲学の中では常に出てきますね。その『考え方のベースは心です。『正しく』ということもよくおっしゃるけれども、その前提になっているのは人間愛です。その愛そのものが原点になった考え方、それが生き方、ビジネスの仕方をすべて左右するということを心得ておかなければなりません。

次は『努力』。稲盛哲学の努力というのは、すさまじい誰にも負けない努力であってこれこそ稲盛哲学の神髄だと思うんです。誰にも負けない努力を続けて、ついに限界まで達した時神からの言霊が降りてくると。ひらめきと捉えるのが普通ですが、そうじゃない、それは神からのささやきなんだと。しかしそのささやきを聞ける域に達するためには、普通の努力では無理だということです。

そして『パーフェクトということ。塾長と食事をご一緒させていただくと、米粒1つ残さず隅から隅までお食べになる(笑)。ビジネスの仕方も同じで、やっぱり徹底しておられます。組織が大きくなればなるほど難しいことですが常にパーフェクトを目指して経営していくということ。自分の生き方についても、まだ問題はないか、ここに問題があるんじゃないかと、問題の芽を全部潰していく。稲盛塾長という方はそういう自分との戦いに打ち克つものすごく強い意志を持っておられるのだと思います。信念と哲学によって己の弱さを見事に制覇されている。その姿勢を私も学んで、自ら実践していくことを改めて心に誓います』

矢崎 「私も稲盛哲学を学ぶことで非常に深い気づきをいただきました。それが本を読んで得られるような学びと重みが違うのは、塾長ご自身が生き様でそれを見せてくださっているからだと思うんです。

それを我々自身も、血の通った人間としてどう受け止めるか。ですから1回でも多く塾長例会に出かけて行き、できるだけ塾長の謦咳に接しながらその学びを受け取り直し続ける。そこに非常に大事な塾生としての学びの姿勢があると思っています。

また、そこで得た学びを社内で共有しさらに地域社会と共有しなければせっかくの気づきが一代一社で終わってしまう。ですから、自分の得た学びをできるだけこの大阪の地域社会と共有していきたいというのがいまの私の思いであり、信條とも言えます」

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【著者】 致知出版社 【発行周期】 日刊

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